14:46 〜 14:58
[P-02-4] 声掛けによるゴール提示の有無が立位バランス及び前頭葉に与える影響 【卒業研究】
キーワード:ゴール提示、立位バランス
【背景と目的】
運動課題中の声掛け刺激には、運動に対する声援や、課題終了までの目安を示すゴール提示などがある。運動に対する声援は、運動パフォーマンスやモチベーションを向上させることが報告されている。一方、ゴール提示を示す声掛けを実施した時の運動パフォーマンスの変化に関する検討は実施されていない。モチベーションには前頭前野の活動が重要であることから、本研究では運動課題中のゴール提示を示す声掛けにより、立位バランス及び前頭葉に与える影響について検討をおこなうことを目的とする。
【方法】
対象は健常大学生34名を被験者とした。運動課題中の前頭前野の脳活動は、携帯型脳血流計測装置(NeU社製、HOT-2000)を前額部に当て、左右の脳血流動態の変化を測定した。運動課題の指標として、閉眼片脚立位にて平衡機能計(JK-101Ⅱ、ユニメック社)で重心動揺の測定をおこなった。課題条件は声掛けの有無とし、測定順は無作為にて施行した。なお、声掛け有り条件を60秒間、声掛け無し条件を70秒間測定した。課題時の聴覚刺激を統制するため、どちらも測定終了の10秒前に声掛けをおこなった。データ解析は、閉眼での立位が可能であった21名を解析対象とし,閉眼片脚立位課題時の声掛け有り条件と、声掛け無し条件のそれぞれにおいて、50~60秒の前頭葉の脳血流、重心動揺について比較をおこなった。統計処理はWilcoxonの符号順位検定を用いた。有意水準は5%とした。
【結果】
閉眼片脚立位課題の重心動揺の比較では、声掛けの有無による有意な差は認めなかった。一方で、声掛け無し条件は、声掛け有り条件と比較し右前頭葉において有意な差を認めた。(p<0.05)
【考察】閉眼片脚立位課題での声掛け有り条件と比較し、声掛け無し条件では右前頭葉の活動を認めた。この要因として、右前頭葉は特に空間性作業記憶と関連しているので、閉眼では運動の維持に身体の空間情報がより重要である。加えて、声掛け無し条件では課題終了まで情報提示がなく、持続的な集中力が求められ、継続的な脳活動に繋がったと考える。一方で、課題中でのゴール提示、すなわち課題終了に関する情報の提示によりその刺激により運動終了を意識させてしまい、前頭葉の活動低下に影響した可能性が示唆された。
【理学療法研究としての意義】本研究の結果からリハビリテーション実施中の運動課題における患者に対する声掛けが必ずしも正に作用するとは言い切れず、課題の内容により適切な声掛けの方法や、タイミングが重要であることが考えられる。
運動課題中の声掛け刺激には、運動に対する声援や、課題終了までの目安を示すゴール提示などがある。運動に対する声援は、運動パフォーマンスやモチベーションを向上させることが報告されている。一方、ゴール提示を示す声掛けを実施した時の運動パフォーマンスの変化に関する検討は実施されていない。モチベーションには前頭前野の活動が重要であることから、本研究では運動課題中のゴール提示を示す声掛けにより、立位バランス及び前頭葉に与える影響について検討をおこなうことを目的とする。
【方法】
対象は健常大学生34名を被験者とした。運動課題中の前頭前野の脳活動は、携帯型脳血流計測装置(NeU社製、HOT-2000)を前額部に当て、左右の脳血流動態の変化を測定した。運動課題の指標として、閉眼片脚立位にて平衡機能計(JK-101Ⅱ、ユニメック社)で重心動揺の測定をおこなった。課題条件は声掛けの有無とし、測定順は無作為にて施行した。なお、声掛け有り条件を60秒間、声掛け無し条件を70秒間測定した。課題時の聴覚刺激を統制するため、どちらも測定終了の10秒前に声掛けをおこなった。データ解析は、閉眼での立位が可能であった21名を解析対象とし,閉眼片脚立位課題時の声掛け有り条件と、声掛け無し条件のそれぞれにおいて、50~60秒の前頭葉の脳血流、重心動揺について比較をおこなった。統計処理はWilcoxonの符号順位検定を用いた。有意水準は5%とした。
【結果】
閉眼片脚立位課題の重心動揺の比較では、声掛けの有無による有意な差は認めなかった。一方で、声掛け無し条件は、声掛け有り条件と比較し右前頭葉において有意な差を認めた。(p<0.05)
【考察】閉眼片脚立位課題での声掛け有り条件と比較し、声掛け無し条件では右前頭葉の活動を認めた。この要因として、右前頭葉は特に空間性作業記憶と関連しているので、閉眼では運動の維持に身体の空間情報がより重要である。加えて、声掛け無し条件では課題終了まで情報提示がなく、持続的な集中力が求められ、継続的な脳活動に繋がったと考える。一方で、課題中でのゴール提示、すなわち課題終了に関する情報の提示によりその刺激により運動終了を意識させてしまい、前頭葉の活動低下に影響した可能性が示唆された。
【理学療法研究としての意義】本研究の結果からリハビリテーション実施中の運動課題における患者に対する声掛けが必ずしも正に作用するとは言い切れず、課題の内容により適切な声掛けの方法や、タイミングが重要であることが考えられる。