第34回大阪府理学療法学術大会

講演情報

査読者推薦演題

事前公開

[SO-03] 【事前公開】査読者推薦演題③(生活期)

座長:浅田 史成(大阪労災病院)

[SO-03-1] 食道摘出再建術を実施した食道癌患者における 術後Performance Statusと術後生存率との関連について

水澤 裕貴1, 東本 有司2, 白石 匡1, 杉谷 竜司1, 野口 雅矢1, 白石 治3, 安田 卓司3, 木村 保1 (1.近畿大学病院リハビリテーション部, 2.近畿大学医学部リハビリテーション医学, 3.近畿大学医学部外科学)

キーワード:食道癌、食道摘出再建術

【背景と目的】非手術適応の食道癌患者では,Performance Status(PS)は有用な予後予測指標である.食道癌患者のサルコペニア有病率は高く,食道摘出再建術後には摂食嚥下障害によりサルコペニアは加速する.しかし,食道摘出再建術の術後PSと術後生存率との関連を報告した研究はない.当研究の目的は,食道癌患者の食道摘出再建術の術後PSと術後生存率との関連を検討することである.
【方法】研究デザインは,後方視観察研究である.対象は2016年1月から2020年3月までに術前化学療法後に食道摘出再建術を実施した食道癌患者108例とした.術後PSは定期診察時の術後4ヶ月時のPSを評価し,医師記載,看護記録,検査入室方法から後方視的にカルテより評価した.その他,年齢,性別,術前ステージ,Geriatric Nutritional Risk Index (GNRI),大腰筋断面積,術後呼吸器合併症有無,再発有無,生存死亡の情報を収集した.包含基準は,術前PSが0もしくは1の患者とした.除外基準は,術後4ヶ月以内に死亡または再発した患者とした.統計解析は,術後PS 0,1,2-4の3群に分け,生存分析にKaplan-Meier法とLog lank検定,Cox比例ハザード回帰分析による単変量・多変量回帰分析を行い,単変量回帰分析にてp < 0.1の独立変数を多変量回帰分析に投入した.有意水準は5%未満とした.
【結果】患者背景は,年齢:67.1 ± 7.9歳,男性:86名(79.6%),術前ステージ Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ/Ⅳ = 22 / 31/ 48/ 7名,術後4ヶ月時のPSは0/ 1/ 2/ 3/ 4 = 39/ 48/ 3/ 17/ 1名であった.Log lank検定の結果,術後PS 0,1,2-4の3群間で術後生存率に有意差があった(p < 0.01),事後検定では術後PS2-4群で,PS 0群とPS 1群に対して術後生存率が有意に低かった(p < 0.01).Cox比例ハザード回帰分析では,単変量回帰分析の結果より年齢,術前ステージ,術後呼吸器合併症あり,術後4ヶ月以降の再発,GNRI,術後PS 2-4,調整変数として性別を投入し多変量回帰分析を実施した.その結果,術後4ヶ月以降の再発(HR:11.58, 95%CI:3.79 35.43, p < 0.01)と術後PS 2-4 (HR:6.59, 95%CI:1.80 23.74, p < 0.01)が術後生存率と有意な関連を示した.更に,術後4ヶ月以降に再発した22例におけるCox比例ハザード回帰分析の単変量回帰分析では,術後PS 2-4は術後生存率に有意に影響を及ぼす因子であった(HR:14.40, 95%CI:2.35 88.18, p < 0.01).
【結論】食道摘出再建術を行った食道癌患者の術後PSは,術後生存率に影響を及ぼすことが示唆された.