第34回大阪府理学療法学術大会

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[SPL-1] 特別講演
リハビリテーションの現在地と未来

2022年7月3日(日) 09:40 〜 11:10 会場1(LIVE ch1) (10階 1003会議室)

座長:松木 明好(四條畷学園大学)

09:40 〜 11:10

[SPL-1] リハビリテーションの現在地と未来

長谷 公隆 (関西医科大学リハビリテーション医学講座・教授)

リハビリテーション医療を要する病態や分野、そして適用される技術は多様化し、医療・介護はもとより、健康増進や教育、機器開発、産業などへ広がりを見せている。その未来は、これらに医療チームとして貢献できるということに支えられている。
臨床現場で行われる医療行為は、身体診察と検査に基づいて病態を診断し、その総合的な結果から治療を施す、というプロセスが基本となる。身体診察や検査あるいは評価に基づく診断は的確か、適切な治療法が適用されたか、が医療の質と効率に影響する。診断においては、教育・研修によって修得した医学知識や経験に基づく臨床推論が重要になり、治療については、その病態を解決する治療技術を提供できることが必要条件となる。
臨床推論では、直感的思考と分析的思考を無意識下に使い分けていることが多いが、前者を磨きあげていくためにも、後者を意識したリハビリテーション診療を心掛けることが大切である。特
に、活動再建を目指すリハビリテーション治療では、ヒューリスティックに達成した事象をデータ化し、その成果を社会にアピールしていかなくてはならない。これを具現化していくうえで、ユビキタスセンシングや人工知能をリハビリテーションの実臨床に取り込んで行く必要がある。
産学連携を軸として、ロボティックスをはじめとするリハビリテーション治療技術の実用化を推進していくことは、リハビリテーション医療の未来を担う重要課題である。先進テクノロジーを駆使したリハビリテーション治療の発展は、長寿先進国としての日本の使命であると同時に、リハビリテーション医療チームが果たす新たな役割の開拓に寄与する。これらを地域社会において提供できるような体制の整備を推し進めていくことが重要である。
講演では、動作分析データから臨床推論をサポートする特徴量の重要度サンプリングを行う機械学習ならびに複合現実技術やリハビリテーション・ロボット治療の臨床応用に関する取り組みを紹介しながら、リハビリテーション医療の未来像について考察する。
(本講演の研究成果の一部は科学研究費 20K21775、21K21775 および AMED 先進的医療機器・システム等技術開発事業の助成を受けたものである。)