The 141st Annual Meeting of the Pharmaceutical Society of Japan (Hiroshima)

Presentation information

Symposium

[S11] Developing the next generation small-molecule pharmaceuticals using a wide variety of elements

Sat. Mar 27, 2021 3:45 PM - 5:45 PM [Room D] Oral Presentation D (Online)

Organizer: Fujii Shinya (Inst. Biomaterials Bioengineering, Tokyo Med. Dent. Univ.), Ohta Kiminori (School of Pharmacy, Showa Univ.)

4:23 PM - 4:41 PM

[S11-3] Exhaustive syntheses of deuterium-labelled compounds

○Yoshinari Sawama1 (1. Gifu Pharmaceutical University)

重水素(2H, D)は、水素(1H)の放射性を示さない安定同位体であり、親化合物のC-H結合をC-Dに変換した重水素標識化合物は、微量分析のトレーサーや有機反応の反応機構解明などに古くから用いられている。C-D結合はC-H結合より安定であり、既存医薬品の特定部位を重水素標識すると代謝遅延が生じて活性持続時間が延長される。これを利用した重水素化医薬品(ヘビードラッグ)が注目されている。さらに機器分析の急激な発展に伴い、重水素標識化合物は中性子散乱解析などにおける強力なツールとしても活用されている。重水素標識体の有用性は益々高まっていくことが予想されるが、合成法は限定的である。親化合物のC-H結合をC-D結合に置き換えるH-D交換反応が直接的方法として有用であり、天然水にも約150 ppm含まれる重水(D2O)を重水素源とすることで、比較的コストを抑えた合成が可能となる。我々は、D2Oを重水素源とした不均一系触媒的多重重水素化法や、有機触媒による位置選択的重水素化法の開発に継続的に取り組んでいる。入手容易な活性炭担持型ルテニウム触媒(Ru/C)により、水素(H2)を活性化剤とした糖類水酸基のα位選択的重水素化が進行し、重水素標識ヌクレオシド類の調製にも応用した。また、Pt/C触媒存在下2-PrOHを水素源とした活性化法により、ベンゼン環・炭化水素・飽和脂肪酸・アクリル酸類の多重重水素化を達成した。また、有機塩基による末端アルキンの重水素化やニトロアルカン類の重水素化を伴う官能基化、アルデヒドのモノ重水素化にも成功している。本シンポジウムでは、重水素標識法を解説するとともに、「重水素学」という新領域で採択された科研費学術変革領域研究(B)の計画研究としての取り組みについても紹介する。