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[S31-4] UDP-グルクロン酸転移酵素活性を制御する小胞体膜トランスポーターの機能解析
UDP-グルクロン酸抱合酵素 (UGT)により触媒されるグルクロン酸抱合反応は、様々な内因性および外因性化合物の代謝に重要な役割を果たしている。特にUGT1AのUGTの酵素活性変動は胆汁うっ滞の発症や抗がん剤イリノテカンなどの薬物副作用の発現に影響するため、その機能解明は薬物動態に加え薬物毒性や病態の観点からも重要である。UGTの活性は主にヒト肝由来ミクロソームやヒト初代培養肝細胞を用い試験により行われているが、それらin vitro試験から得られたクリアランスからin vivoへの外挿は難しい。その理由として、 UGTは細胞内オルガネラである小胞体に局在し、その活性部位は小胞体の内腔にあるため、基質化合物や補酵素UDP-グルクロン酸は小胞体膜を透過する必要があることが挙げられる。近年、小胞体膜画分を用いたプロテオミクス解析や、細胞免疫染色法によりいくつかのトランスポーター分子が小胞体に局在することが明らかとなっている。一方、その機能解析はほとんど進められておらず、どのような分子がUDP-グルクロン酸および気質化合物の小胞体膜透過に関わるか、またその機能変化が酵素活性に影響しうるかについての知見は乏しい。演者らは、近年SLC35ファミリーのノックダウンスクリーニングによりUDP-グルクロン酸の小胞体膜透過にSLC35B1が関わり、グルクロン酸抱合活性を調節する可能性があることを見出した。また、有機アニオントランスポーターOAT2が小胞体に局在し、有機アニオン化合物の小胞体取り込みに働くことをノックアウトマウスを用いた検討から見出している。本シンポジウムでは演者らの知見を紹介し、小胞体トランスポーターの薬物代謝における重要性について議論したい。