1:30 PM - 3:10 PM
[28PO8-pm1-09S] Multi-Deuteration of Triphenylphosphine and Its Functional Evaluation
【目的】重水素(D)は水素(H)の非放射性安定同位体であり、分子のC-H結合をC-D結合に置換した重水素化体はトレーサー実験や薬物動態解明研究等に幅広く用いられてきた。C-D結合はC-H結合より安定であるという同位体効果などが影響し、重水素化体は元化合物とは異なる物性を示す場合がある。そのため、新規重水素化法の開発とともに、物質に応じた精密な機能評価が求められる様になってきた。今回、遷移金属触媒反応において配位子として機能するPPh3に注目した。D2ガス雰囲気下Ru触媒を用いることでPPh3の重水素化が進行することが報告されているが、オルト位にのみ重水素が導入される。1) そこで、PPh3のC-H結合を全てC-D結合に置換したPPh3-d15の合成法を確立し、その機能を評価することとした。
【結果】我々は、不均一系白金族触媒存在下2-PrOH/D2O混合溶媒中、多様な有機分子の多重重水素化が効率的に進行することを見出している。2) 種々の触媒を検討した結果、Ru/Cを触媒とすることでPPh3のオルト位選択的な重水素化が進行し、Ir/Cを用いた場合はメタならびにパラ位選択的に重水素が導入された。PPh3とPPh3-d15の31P NMR化学シフト変化における重水素原子の効果を明らかにし、計算化学により実証した。また、クロスカップリング反応における配位子効果なども評価した。
1) S. Castillon, et al., Chem. Commun., 2015, 51, 16342.
2) Y. Sawama, H. Sajiki, et al., Org. Process Res. Dev. 2019, 23, 648.

【結果】我々は、不均一系白金族触媒存在下2-PrOH/D2O混合溶媒中、多様な有機分子の多重重水素化が効率的に進行することを見出している。2) 種々の触媒を検討した結果、Ru/Cを触媒とすることでPPh3のオルト位選択的な重水素化が進行し、Ir/Cを用いた場合はメタならびにパラ位選択的に重水素が導入された。PPh3とPPh3-d15の31P NMR化学シフト変化における重水素原子の効果を明らかにし、計算化学により実証した。また、クロスカップリング反応における配位子効果なども評価した。
1) S. Castillon, et al., Chem. Commun., 2015, 51, 16342.
2) Y. Sawama, H. Sajiki, et al., Org. Process Res. Dev. 2019, 23, 648.
