第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

優秀演題候補セッション

優秀演題候補セッション1

2022年11月6日(日) 09:30 〜 10:30 第3会場 (5階 502+503)

座長:岩城 正宏(近畿大学 薬学部), 副座長:小湊 英範(I&H(株) 執行役員/調剤薬局事業支援本部 副本部長)

[AW-06] ピロリ菌除菌療法後の呼気検査偽陰性を防ぐための電話フォローアップ

湊 菜月子1, 三宅 里奈1, 宮本 慶子1, 岡野 泰子1, 中垣 貴裕2 (1.総合メディカル(株)そうごう薬局 新倉敷店, 2.総合メディカル(株))

【目的】ピロリ菌除菌療法後の除菌判定では、簡便さや精度の高さから尿素呼気検査(以下、呼気検査)を用いることが多い。呼気検査の問題点として、検査前2週間にプロトンポンプ阻害薬や抗生剤など、ピロリ菌に対して静菌作用を有する薬剤を使用している場合に除菌判定が偽陰性となる可能性が知られている。そこで当薬局では正確な除菌判定に貢献するため、電話フォローアップにて服薬状況・呼気検査前の併用薬を確認することとした。今回は取り組みの成果とその課題について報告する。
【方法】2020年4月30日~11月30日の7か月間、当薬局において主応需先よりピロリ菌除菌薬を処方され、電話フォローアップの同意を得た患者85名を調査対象とした。除菌薬服用開始1週間後に服薬完了を確認した患者のうち、除菌判定方法が呼気検査の方について、検査2週間前に静菌作用を有する薬剤を使用している患者数を調査した。また、呼気検査終了後に検査結果についても聴取した。
【結果】調査対象者85名の除菌判定方法は5名が便検査、80名が呼気検査であった。服薬開始後1名が副作用で中止、84名は服薬完了を確認できた。呼気検査2週間前に電話確認できたのは79名中71名、うち2名が静菌作用を有する薬剤を使用しており(1名は点滴も施行)、病院に連絡後検査延期となった。また、呼気検査結果が確認できた64名のうち61名が陰性、3名が陽性であった。
【考察】今回の取り組みにより、呼気検査予定者79名のうち、電話フォローアップができた71名中2名について偽陰性となる可能性を防ぐことができたが、8名は薬剤使用の確認ができなかった。また、静菌作用を有する薬剤を点滴で施行された場合には薬剤名を聞き出せない可能性があることが分かった。このことから、正確な除菌判定の支援を徹底するためには、他の医療者にも静菌作用を有する薬剤使用の注意を共有できるようにする必要があると考察した。