第16回日本薬局学会学術総会

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優秀演題候補セッション

優秀演題候補セッション2

Sun. Nov 6, 2022 9:30 AM - 10:30 AM 第4会場 (4階 411+412)

座長:大上 哲也(日本薬科大学 薬学部), 副座長:藤原 慎悟((株)タカラ薬局 取締役/店舗統括本部 運営部長 薬剤師)

[AW-08] 中規模医療圏の在宅医療に携わる薬剤師の現状に関する調査-質的研究の成果を量的研究により検証する-

横幕 香織1,2, 安原 智久3, 永田 実沙3, 上田 昌宏1, 串畑 太郎1, 曽根 知道1 (1.摂南大学 薬学部, 2.彦根市立病院 薬剤部, 3.和歌山県立医科大学 薬学部)

【目的】在宅医療を希望する患者の増加や入院期間の短縮傾向により、在宅医療を実現するサービスが充実している。在宅医療の担い手となる医師や看護師は増えているが、在宅医療のチームの一員として活躍する薬剤師が不在な地域もある。多くの在宅医療の議論は都市部でのあり方に集中しているが、地域の規模によって在宅医療に求められる形が異なる可能性は高い。演者らは、人口10万人程度の中規模医療圏における在宅医療のあり方を都市部の形とは別に考える必要があると考え、滋賀県彦根市で薬剤師の在宅業務を阻害する要因を質的研究により明らかにした(医療薬学,2021,549)。今回、質的研究で得られた概念の汎用性を検証するため、同じ規模の地域にアンケートを実施し、量的解析に基づく概念の検証を行う。
【方法】質的研究から得られた33の概念に基づいた50項目のアンケートを作成し、2022年5~6月にかけて人口10万人規模の5つの地域(滋賀県湖東医療圏、奈良県橿原市、和歌山県田辺医療圏、兵庫県但馬医療圏、京都府丹後医療圏および舞鶴市)に所在する342薬局にアンケートを送付、回収した。アンケートのうち、すべての薬局を対象とした31項目、在宅訪問を実施している薬局を対象とした19項目で因子分析を行った。
【結果】アンケートの有効回答数は169件、回収率49.4%であった。因子分析により、前者からは9因子、後者からは5因子が抽出された。
【考察】因子分析の結果からは、「患者・生活者との関わり」が「地域薬局としての信頼」や「他の職種との関わり」の双方に、「在宅医療における他の職種との良好な関係」が「他の職種への貢献」や「地域医療との一体感」の双方に繋がっていることなどが示唆された。量的な研究から明らかになった中規模医療圏における在宅医療にかかわる薬剤師の現状は、質的研究から得られた概念図と類似性が確認でき、その汎用性の高さが検証できた。