第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

2022年11月6日(日) 15:10 〜 16:00 ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-012-C] 専門医療機関連携薬局においてパニツムマブによる眼障害が疑われた患者に対して早期受診勧奨を行った一例

荒井 元志1, 本田 雅志2, 原田 素子2, 本村 真悟2, 下川 友香理3, 長澤 陽3 (1.総合メディカル(株)そうごう薬局塩原店, 2.総合メディカル(株)そうごう薬局天神中央店, 3.総合メディカル(株))

【背景】
2021年8月に制度が施行された「専門医療機関連携薬局」は、がん患者に対し、他の医療提供施設と連携しつつ、より高度な薬学管理が行える薬局である。その認定を取得したそうごう薬局天神中央店(以下、当薬局)は以前より「がん薬物治療患者の治療効果を最大限に、副作用を最小限にするサポートを行う」ことを目的として様々な活動を続けてきた。特に、2020年からは服用期間中のフォローアップ手順や副作用ごとの対応フローチャートを作成し、より効率的な対応を行っている。今回は、当薬局において、薬剤師の介入により副作用によるQOL低下を回避できた事例について報告する。
【症例】
73歳男性、切除不能進行結腸がんの患者。パニツムマブ単独療法30コースday1に、薬剤師に対し左目異物感と眼痛の訴えあり。パニツムマブによる眼障害の可能性を考慮し、日常的に自動車の運転をしていることなどからも、早期の眼科受診を勧めた。3日後に患者本人が眼科を受診し、両眼角膜炎と睫毛乱生の診断で逆睫毛抜去し、ステロイド眼軟膏と抗生剤・抗炎症剤の点眼薬が処方された。1週間後電話にて体調をフォローアップしたところ、眼の痛みの軽減および自動車運転に支障が無くなったことを聴取。以上を主治医とも情報共有し、対応への感謝を頂いた。その後角膜炎は完治し、逆睫毛を抜去しながら治療を継続することができた。
【考察】
今回の症例では、直ちに治療中断とならないまでも患者のQOLに大きく影響を及ぼす可能性のある眼障害について、保険薬局薬剤師が注射の抗がん薬も含めた治療全体の影響をアセスメントし、適切な対応を早期に行えた事例であると考える。このように、保険薬局による専門的な薬学管理を通して、がん患者の問題点を適切に把握し、受診勧奨や情報提供などを行いQOL向上に貢献することが可能であると考える。