第16回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

Sun. Nov 6, 2022 3:10 PM - 4:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-015-C] かかりつけ薬剤師の機能発揮が抗凝固薬の服用継続に及ぼす影響

中村 僚宏1, 小林 大介1, 永野 悠馬2, 前田 守2, 緒形 富雄2, 市ノ渡 真史2, 長谷川 佳孝2, 月岡 良太2, 大石 美也2 (1.(株)宮古アイン 宮古調剤薬局, 2.(株)アインホールディングス)

【目的】血栓塞栓症の防止には抗凝固薬の継続的な服用が重要であり、薬局薬剤師は患者の服薬状況の継続的な管理を通じて、服薬アドヒアランスの維持・向上に努めることが求められる。そこで、薬局薬剤師のかかりつけ機能の発揮が抗凝固薬の治療継続に及ぼす影響を調査した。
【方法】当社グループ保険薬局の匿名化レセプトデータを用い、2019年1月~2022年2月に抗凝固薬(アピキサバン、エドキサバン、リバーロキサバン、ワルファリンカリウム)を含む処方箋を応需した663薬局から、2020年1月以降に初めて抗凝固薬が処方された65歳以上の患者を抽出した。処方回数に対するかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料の算定率が50%以上をかかりつけ群(以下、FP群)、未算定を対照群(以下、CO群)とし、抗凝固薬の服用継続期間をカプランマイヤー法およびログランク検定で解析した。なお、2022年2月28日までに各凝固薬の処方日数中央値の1.5倍以上の未服薬期間が発生した場合は、初回調剤日から未服用期間が発生する直前の調剤日に処方日数を加えた日までの間隔を服用継続期間とした。服用継続期間を目的変数、女性、75歳以上、FP群を説明変数とする有意水準0.05としたCox比例ハザード分析を実施した(アイングループ医療研究倫理審査委員会承認番号:AHD-159)。
【結果】FP群は1,246名、CO群は25,415名であった。服用継続期間はFP群(中央値未到達 [95%CI:680-NA])の方がCO群(287日 [280-297])よりも有意に長かった。また、Cox比例ハザード分析では、FP群(ハザード比0.46 [0.42-0.51])、女性(1.01[0.96-1.03])、75歳以上(0.99 [0.96-1.03])であり、FP群で有意であった。
【考察】かかりつけ機能の発揮は、抗凝固薬の服用継続期間を有意に延長する可能性が示唆された。今後も抗凝固薬服用患者に対応してかかりつけ機能を発揮し、抗凝固薬の服用継続期間延長を通じた血栓塞栓症予防に貢献することが重要と考える。