第16回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

Sun. Nov 6, 2022 3:10 PM - 4:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-018-C] 経口抗がん剤服用患者に対する薬剤交付後のフォローアップの必要性

山田 真弘, 田丸 蓉子 ((株)ファーマシィ ファーマシィ薬局病院前)

【目的】2020年9月に施行された改正薬機法において、必要性を認めた場合には薬剤交付後も継続してフォローアップを行う義務があることが明確化された。ファーマシィ薬局病院前(以下当薬局)では、薬剤師の判断に基づき、服用期間中の患者に対し、電話によるフォローアップ(以下サポートコール:SC)を実施している。殊に経口抗がん剤(OAA)は、細胞障害性抗がん剤はもとより、分子標的薬についても重篤な有害事象の可能性を有することから、自宅で患者自身の管理下で使用される期間においても医療従事者によるフォローアップの必要性は高いと考えられる。そこでこの度、当薬局において実施されたSCやトレーシングレポート(TR)について、数量的な全体像を実データに基づいて記述し、OAA服用患者に対するSCの重要性について検討を行った。
【方法】2021年10月1日~2022年4月30日におけるSC、TR実施記録(報告型と提案型に分類し提案型のみを対象)を、OAA服用患者とそれ以外の患者(以下一般患者)に分け、件数、内容を調査した。
【結果】一般患者に対するSC実施は8.1%であったのに対し、OAA服用患者では66.7%であった。また、SCにより得た情報に基づき提案型TRが提出された事例は一般患者では4.7%であったのに対しOAA服用患者では22.7%であった。さらに、提案型TRによる提言内容が治療に反映された事例は一般患者では66.7%であったのに対し、OAA服用患者ではすべてのTRが反映された。
【考察】期間中に実施されたSCにより,重篤な有害事象の発生は確認されなかったが、軽中等度の有害事象など、TRにより医師等と共有すべき事象が複数確認された。一般患者に比べOAA服用患者のTR提出割合は3倍以上高かったことから、OAA服用患者に対するSCの意義は大きいと言える。また、OAA服用患者に関するTRによる情報提供内容は治療に高率に反映されたことから,その有用性は高いと考えられた。