第16回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

Sun. Nov 6, 2022 2:10 PM - 3:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-035-B] 認知症相談窓口による抗認知症薬適正使用に向けた取り組み

原 智子, 前田 康多, 安藤 健皓, 佐々木 雄大, 榊原 潤一郎, 矢沢 勇士, 木村 めぐみ, 石居 史子, 齊藤 高広, 上地 まどか, 1 ((株)クリエイトエス・ディー)


【目的】抗認知症薬は、添付文書上の有効用量でなければ、認知機能低下の抑制効果は十分に得られないとされる。しかし当社認知症相談窓口(社内の認知症に関する疑問や相談に認知症研修認定薬剤師が回答するシステム)では、理由が不明のまま有効用量未満が継続し、適正使用されていないと考えられる症例を複数確認したため、介入により適切な認知症治療に導く必要があると考えた。今回、その取り組み及び「先手を打ち抗認知症薬を適正使用に繋げる方法」を報告する。
【方法】2022 年2 月から、認知症研修認定薬剤師とその資格取得希望者計7 名が所属店舗にて取り組みを実施。抗認知症薬による副作用や、増量で悪化が懸念される症状が確認されず、かつ有効用量未満の症例を抽出、疑義照会及び処方提案を行った。
また、抗認知症薬新規処方の際は増量タイミング直前に、副作用の有無などの確認結果に抗認知症薬漸増法を添記し、先手を打ち、医師に情報提供し増量への認識を促した。
【結果】合計で、ドネペジル使用症例87 件中20 件(以下、分数で示す)、ガランタミン1/12 件、リバスチグミン8/12 件、メマンチン19/45 件(計48/156 件)抽出した。内5月までに来局かつ取り組み参加薬剤師が直接対応できた11 件に介入した結果、ドネペジル2 件、リバスチグミン1 件、メマンチン2 件が有効用量まで増量、帰宅願望消失などによる介護負担軽減を確認した。
先手を打つ情報提供はドネペジル4件実施し、内3件が有効用量まで増量、会話量の増加や、トイレの失敗がなくなるなど介護負担軽減も確認された。
【考察】介入による適切な認知症治療により、複数の患者のQOL 向上が図られたと考える。認知症医療は、専門医だけが実施している訳ではない。先手を打ち、医師に適正使用を情報提供する必要性への気づきは、認知症地域医療向上の為の大きな収穫であると考察する。今後もこれらの取り組みを継続し、更なる成果を得たいと考えている。