[P-032-B] 薬局薬剤師の職能拡大に対する障壁:記述的横断研究
【目的】今後追加される可能性のある職能に対して障壁を感じているか、何が障壁となっているかの実態を調査し、求められる教育内容を明らかにすること。
【方法】2022年5月1日から5月31日の期間、(株)なの花西日本の薬局店舗に勤務している薬剤師を対象にweb質問紙調査を実施した。質問紙には既存職能5項目(無菌調製、リフィル、バイタルサイン確認、健康サポート、服薬介助)、今後追加される可能性のある職能3項目(ワクチン、血液検査、抗原検査)のそれぞれに対する障壁の有無・内容、教育により障壁が軽減するか、どの職能に対する障壁が一番高いかの質問を含んだ。
【結果】解析対象者は318人で228人(回収割合71.7%)から同意及び回答が得られた。現在行われている職能の中で「無菌調製」が最も障壁が高いとした薬剤師は126人(55.3%)と最も多く、そのうち120人(95.2%)は実際に無菌調製の経験がなかった。障壁の内容としては「知識不足」「手技に自信がない」がそれぞれ86人(68.3%)、85人(67.5%)であった。今後追加される可能性のある職能に関しては「ワクチン接種」が182人(79.8%)と最も多く、障壁の内容としては「手技に自信がない」が165人(90.7%)で最も多かった。「教育を受ければ障壁は軽減されると思うか」の質問に対して「軽減されると思う」と回答した者が、無菌調製では障壁を全く感じていない11人を除いた217人のうち172人(79.3%)、ワクチン接種では障壁があると回答した184人のうち126人(68.5%)であった。
【考察】今後拡大する可能性がある職能だけでなく、すでに行われている職能に関しても薬局薬剤師が経験・知識不足を感じ、それが障壁となっていることがわかった。しかしながら教育を受ければ障壁は軽減されると感じている薬剤師も多いため、手技の実習などの教育を行うことで障壁が軽減するという仮説が創出された。今後薬局薬剤師の職能拡大に向けた教育を行い、さらなる検証を行う必要がある。