第16回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

Sun. Nov 6, 2022 1:10 PM - 2:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-046-A] 服薬拒否を示す患児の家族に服薬フォローアップを実施した結果、コンプライアンス改善に繋がった例

三浦 日菜子1, 多田 貴彦2, 辻内 保乃佳3 (1.(株)永冨調剤薬局市浜店, 2.(株)永冨調剤薬局敷戸店, 3.(株)永冨調剤薬局大在店)


【背景】
厚生労働省が発表した「患者のための薬局ビジョン」により薬剤師は「対物業務から対人業務」へシフトすることが重要となった。今回の症例では継続的な服薬フォローアップによりコンプライアンスの改善が確認できた症例を報告する。
【症例】
10歳未満女児。自閉症スペクトラムと診断され、ラメルテオン錠8mg 0.25錠 1日1回 就寝前を服用していた。しかし、癇癪の頻度が増加したためアリピプラゾール散1% 0.03g 1日1回 夕食後が追加となった。その後の服用状況等を確認する為、電話にて服薬フォローアップを実施した所、母親と祖母の間で治療に対する意識の相違が原因でコンプライアンス不良になっていることが発覚した。電話だけでは服用の重要性等を理解してもらうのは困難と判断し、母親に面談を提案。了承を頂いき、1週間後に薬剤の患者向け資料を用いて文書を作成し、処方医同意のもと当薬局で患児、母親、祖母と面談を行った。薬の安全性、有効性、薬物治療が今後の生活にもたらすメリットについて文書を用いて説明した。面談後、報告書を作成し、処方医に情報提供した。
面談実施後も祖母の理解は十分とは言えないが、母親は服用の重要性を改めて理解し、継続して薬を服用させていることが確認できた。また、患児は薬に対して抵抗を持たず、自ら進んで服用していることも確認できた。
【考察】
継続的な服薬フォローアップにより母親、祖母の薬に対する意識及びコンプライアンス改善につながることが立証できた。また、後から振り返って確認が出来るように文書を作成し、お渡ししたこともコンプライアンス改善につながった有効な手段だったと思う。今後多くの薬剤師が積極的に服薬フォローアップに取り組むよう期待したい。そして今回の症例で示した、服薬フォローアップのその先の行動を起こすことの重要性や必要性も併せて理解して頂きたい。