[P-059-B] 保険薬局における服薬期間中の患者フォローアップの実態と分析
【目的】2020年9月に服薬期間中の患者フォローアップ(以下フォロー)を薬剤師の義務とした薬機法等改正法が施行された。対象となる患者の選択は、現場の薬剤師に委ねられており、選択基準や指導内容の充実には、模範例の集積や傾向の分析が欠かせない。そこで、当薬局におけるフォローの現状を実態調査し、その課題を明らかにすることを目的とした。 【方法】調査期間は2020年7月1日~2020年12月30日。電話フォローをした63例(男性30名、女性33名、平均年齢67.95±19.67)を対象に、薬剤服用歴を用いてフォローの実態を調査した。本研究はアポクリート(株)臨床研究倫理審査員会の承認を得て実施した。 【結果】投薬からフォローまでの日数は、当日8件、1~2日13件、3~4日14件、5~7日13件、8~14日9件、15日以上6件、最長30日。実施タイミングは、薬剤の変更44件、増量5件、副作用疑い4件、用法変更4件、体調確認2件、服薬状況確認4件であった。処方医療機関は、内科41件、整形外科7件、皮膚科3件、小児科眼科5件、その他7件。患者の基礎疾患は、高血圧16件、糖尿病12件、疼痛6件、胃腸疾患5件、がん3件、骨疾患3件、呼吸器疾患3件、緑内障2件、リウマチ2件、心疾患2件、その他9件であった。フォローの好事例としては吸入薬が処方されていた高齢者にフォローを実施したところ、吸入が正しく行われておらず再度吸入指導を行った事例があった。 【考察】今回の調査により、フォローは新規処方や処方変更時、服用・使用方法が特殊な薬剤が処方された高齢者に必要性が高いことが示唆された。電話フォローはコミュニケーションが取りやすく、薬剤の服用状況を継続的かつ的確に把握できた。今後は電話フォローが難しい若者世代に対し、SNS などを活用して実施することが必要だと思われた。また、フォローした内容を服薬情報提供書等で、処方医へ積極的にフィードバックすることも重要だと考えられる。