第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

2022年11月6日(日) 14:10 〜 15:00 ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-113-B] 抗凝固薬服用患者のアドヒアランス維持に及ぼすかかりつけ機能の影響

舘 吉比古1, 永野 悠馬2, 前田 守2, 緒形 富雄2, 市ノ渡 真史2, 長谷川 佳孝2, 月岡 良太2, 大石 美也2 (1.(株)アインファーマシーズ アイン薬局 まつなみ健康増進クリニック店, 2.(株)アインホールディングス)

【目的】血栓塞栓症の防止に向けた抗凝固薬による外来薬物療法では、患者の服薬アドヒアランス(以下、Ad)の維持が重要である。そこで、かかりつけ機能の発揮が抗凝固薬服用患者のAdに及ぼす影響を評価するため、その指標の一つとして薬剤保持率(以下、MPR)に着目した。
【方法】2019年1月~2022年4月に、抗凝固薬を含む処方箋を毎月応需した当社グループ保険薬局663店舗の匿名化レセプトデータを用いて、初回調剤日が2020年1月以降の抗凝固薬単剤服用患者のMPRを集計した。MPRは、「期間内の処方日数」を「期間内の初回調剤日と最終調剤日に処方日数を加えた日の間隔日数」で除して計算し、100%未満で「服用忘れ」、100%を上回ると「残薬発生」の可能性を示唆する。本研究では、80%以上110%未満をMPR良好とした。65歳以上75歳未満(以下、前期高齢群)と75歳以上(以下、後期高齢群)の層別に、薬剤別の処方回数に対するかかりつけ薬剤師指導料・かかりつけ薬剤師包括管理料の算定率が50%以上を「かかりつけ群」、0%を「対照群」とした。対照群に対するかかりつけ群のMPR良好率について、薬剤別の共通オッズ比を有意水準0.05としたCochran-Mantel-Haenszel検定で解析した(アイングループ医療研究倫理審査委員会承認番号:AHD-0159)。
【結果】かかりつけ群は1,246名(前期高齢群269名、後期高齢群977名)、対照群は25,415名(8,895名、16,520名)であった。対照群に対するかかりつけ群のMPR良好率の共通オッズ比は、前期高齢群で2.77(95%CI:1.67-4.61)、後期高齢群で2.23(1.74-2.84)で、年齢層を統合した共通オッズ比は2.33(1.87-2.90)であった。
【考察】本研究のMPRには「同一薬局の利用率」が影響するが、かかりつけ機能の発揮が抗凝固薬のMPR良好率を有意に高める可能性が示唆された。今後も、抗凝固薬服用患者におけるAdの維持・向上に向けてかかりつけ機能を積極的に発揮することが重要と考える。