第16回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

Sun. Nov 6, 2022 1:10 PM - 2:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-139-A] トレーシングレポートを用いた薬局薬剤師のがん薬物治療への介入

内山 瑞穂1, 加藤 結希2, 小川 恵美奈1, 西野 奈穂子1, 小西 友希1, 長崎 理佐1, 稲葉 昌弘1 (1.アポクリート株式会社 薬局アポック南越谷店, 2.アポクリート株式会社 薬局アポック草加新田店)

【目的】2020年5月より獨協医科大学埼玉医療センターにて、レジメン情報提供書のお薬手帳への貼付が開始となった。外来がん化学療法に関する研修会を重ね、保険薬局薬剤師が服薬情報提供書 (トレーシングレポート、以下TR)にて情報提供をする機会が増加した。そこで、外来がん化学療法の質を向上させることを目的に、TRの運用状況や今後の課題を分析したので報告する。
【方法】2020年5月31日から2021年の3月31日の期間で、TR を提出した症例を集計し、提供情報を調査した。また、薬歴記載の簡便化のために症例が多いXELOX、FOLFIRI(+Bmab、+Cmab、+RAM)レジメンを病院のHPで確認し、副作用フォローチェックシートを作成した。本研究は、アポクリート株式会社臨床研究倫理審査員会の承認を得て実施した(承認番号:22-02)。
【結果】期間中のTRの提出は、96件であった。内訳は、化学療法初回導入やレジメン確認後の報告44件、服薬状況28件、処方提案11件、副作用73件と副作用に関する報告が多かった。しびれ32件、食欲不振28件、悪心20件と神経障害性疼痛と消化器系の副作用報告が多かった。有害事象共通用語規準は、グレード1、115件、グレード2、35件、グレード3、6件だった。
【考察】TRへの返信の多くは提出への感謝であり、TRによる処方変更の有無は、タイムラグ等があり確認できなかった。また、特定薬剤管理指導加算2の算定へつなげられた例は少なかった。副作用フォローチェックシートは、運用開始が遅かったこともあり十分な評価ができなかった。今後は、患者への電話フォロー、抗がん薬治療の副作用発生時の対応に関するプロトコルの共有など、副作用フォローチェックシートの充実が課題になると考える。