第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

2022年11月6日(日) 13:10 〜 14:00 ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-142-A] 在宅医療において剤形および薬価に着目した薬剤粉砕処方提案の1例

末延 竜哉 ((株)サンキュードラッグ)

【目的】令和2年度の調剤医療費(電算処理分)は7兆4987億円であり、そのうち薬剤料は5兆6058億円と薬剤料の占める割合は多く、薬価の低い薬剤を選択することは医療費抑制の一因となり得る。この度、錠剤の内服が困難となった高齢者の薬物治療で、生活状況の変化により剤形と薬価に着目し処方提案を実施したので報告する。【症例】患者は90歳代の女性、2型糖尿病、びらん性胃炎、高血圧症の既往にて薬物治療を受けている。シタグリプチンリン酸塩錠(以下シタグリプチン)、ランソプラゾール腸溶性口腔内崩壊錠(以下ランソプラゾール)を含む4剤を懸濁し服用していた。同居家族より、服薬の負担軽減のため粉砕調剤の希望があり、シタグリプチンの粉砕およびランソプラゾールの代替品があるのかの2点に着目して処方検討を実施した。他2剤は要望に対する製剤上の注意点なし。食事量が少なく薬剤変更による血糖コントロール調整は避けた方が良いと判断し他薬への変更をせず粉砕調剤を提案した。苦味による内服拒否がある場合はテネグリプチン臭化水素酸塩水和物口腔内崩壊錠への変更を検討することとした。ランソプラゾールと同効薬は粉砕不可となっている。エソメプラゾールマグネシウム水和物懸濁用顆粒は内服準備に時間を要し患者家族の要望に合わないと判断した。ボノプラザンフマル酸塩錠について検討したが、薬価を比較したところ1年間の薬価差が約38580円程度であり、ランソプラゾールは容易に溶解するため、変更せず継続が望ましいと判断した。結果、処方医からシタグリプチンは粉砕指示、ランソプラゾール継続し服用時溶解指示となった。患者家族の負担軽減に繋がり適切な薬物治療を継続する支援ができた一例となった。【考察】高齢者の薬物治療では生活状況によりオーダーメイドの対応が求められる場面がある。薬剤の選択には無数の要因が存在するが持続可能な処方設計を支援することが必要であると考える。