第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

2022年11月6日(日) 14:10 〜 15:00 ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-143-B] 薬薬連携による患者フォローアップ~アナスロトゾール副作用チェックから狭心症の発見に繋がった症例~

澁谷 幸子 ((株)ココカラファインヘルスケア ココカラファイン薬局白十字病院)

【背景】
 乳腺外科のアナストロゾール錠等が含まれた処方せんを多数応需している。
 アナストロゾール錠が処方された時には、投薬時に都度副作用のモニタリングと患者フォローアップを行っている。
 投薬時の副作用のモニタリングにて、狭心症の症状を発見し、薬薬連携により、患者フォローアップができた症例があったので報告する。

【症例】
 80代女性、閉経後乳がん、高血圧、骨粗鬆症、過活動膀胱の既往を持つ定期受診患者。
 口頭で副作用モニタリングを行い、更年期症状、悪心・嘔吐、不正出血、肝障害症状、視力低下、関節痛・こわばり、眠気、めまい、下肢の痛み・腫れ・しびれ等がなく、息苦しさのみがあると聞き取りした。息苦しさの開始時期は古く徐々に悪化しており、労作時に激しく息切れすることがわかった。過活動膀胱のため水分摂取を極端に控えているが、脹脛の腫れや痛み、頭痛等がないため、アナストロゾール由来の血栓塞栓症よりも家族歴のある心疾患が疑わしいと推測した。
 通常内科に通院していないことから早急に受診する様にすすめたところ、循環器科を受診するとの回答を得た。
 8日後、電話にて受診を確認したところ、近隣医には受診したくないとの理由で、受診していなかった。そこでご本人の了解のもと、薬局から現在通院されている薬剤部に今回の件を相談し、薬剤部より乳腺外科の医師に説明がされ、同病院の循環器科を紹介して貰えることとなった。結果として投薬から13日目に精密検査が行われ狭心症と診断、16日目に入院となった。

【考察】
 今回の症例の様に、新たに受診が必要な場合には、受診せずにいることで重大な経過を辿る可能性がある為、受診勧奨でとどまらず、受診の有無の確認とともに、場合によっては、薬薬連携や医薬連携を含めたフォローアップで実際の受診へ繋げることが肝要である。