第16回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

Sun. Nov 6, 2022 2:10 PM - 3:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-152-B] 薬局薬剤師によるトリプタン製剤の処方実態調査 ~薬歴を介した有効性と安全性の評価~

小谷 謙太 (アポクリート(株) アイランド薬局 八事店)

目的】片頭痛発作の急性期治療には、トリプタン製剤が用いられるが、各製剤の有効性や副作用の出現は個人差が大きい。しかし、処方薬と患者の好み(相性)を検討した片頭痛治療のエビデンスは少なく、治療の隘路となっている。トリプタン製剤を使用した患者の直接の声を反映したデータがあれば、治療において有益なデータとなると考え、トリプタン製剤を使用した患者の処方実績をもとにレトロスペクティブな調査を行った。
【方法】2013 年4 月から2021 年9 月の期間で、薬剤服用歴管理記録から、トリプタン製剤を3 種類以上処方された患者53例を抽出し、トリプタン製剤の有効性と安全性に関する記述を抜き出し解析した。本研究は、アポクリート倫理審査委員会の承認を得て実施した。
【結果】3種類以上のトリプタン製剤が処方された後、最も治療効果を感じた製剤を患者本人が選択し、医師に再処方を希望した件数は42件あった。その内訳はゾルミトリプタン6 件、エレトリプタン12 件、リザトリプタン17 件、ナラトリプタン7 件であった。ナラトリプタンが処方された患者は計21 件で、副作用は0 件だった。リザトリプタンが処方された6 名は、「他の製剤では効果が不十分」。ナラトリプタンが処方された5 名は、「ナラトリプタン以外では、副作用が発現した」とあった。トリプタン製剤による副作用の発現は合計16 件。8 名の患者で構成されており、すべて眠気と吐き気であった。
【考察】ナラトリプタンに有害事象の報告が少なかったため、ナラトリプタン以外の製剤で副作用が発現した場合、ナラトリプタンを処方提案するのも選択肢だと考えた。リザトリプタンでコントロール良好の症例が多かったので、服用しているトリプタン製剤の不応例には、リザトリプタンを勧めるのが有効であると示唆された。これからは薬局薬剤師によるエビデンスの構築や情報発信が重要だと考える。