第16回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

Sun. Nov 6, 2022 3:10 PM - 4:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-180-C] 薬剤師のリカレント教育の構築 「保険薬局-大学間の連携(受託研究員制度の活用)」

山本 和樹1, 出納 一樹1, 山村 広斗1,2, 重森 海希2, 岡田 瑞希2, 長岡 陽南汰2, 猪川 和朗2, 森川 則文2 (1.(株)せいき, 2.広島大学薬学部 臨床薬物治療学研究室)

【目的】「健康寿命の延伸」を目指した日本は世界一の高齢社会となった。高齢者は、医薬品の代謝排泄機能が低下し、医薬品関連のトラブルも生じ易くなる。そのため、薬剤師には高齢者の健康管理と未病、予防、セルフメディケーションの推進は最優先事項となり、薬剤師の職能向上は喫緊の行動目標となり、新たな技術の習得が必要となった。しかし、現状の薬局では医薬品の供給と調剤に忙殺され、薬剤師の職能教育(臨床患者や薬物療法を批判的に吟味し、適切な治療方法を提案する臨床対応能力の醸成)が軽視されている。そこで、我々は、臨床現場を経験した薬剤師のリカレント教育として「保険薬局―大学間の連携(受託研究員制度の活用)」を構築したので報告する。【方法】広島大学薬学部には受託研究員受け入れ制度がある。薬局薬剤師に、広島大学の臨床系薬剤師教員による臨床研究指導、実験機器を用いて薬物濃度を測定する技術指導(POCT機器、HPLC操作、含量試験、崩壊試験、溶出試験、血中濃度測定)、学会発表の指導を行い、高度な臨床研究が実行できる指導薬剤師の養成を行った。本年度は2名の薬剤師が出向した。【結果】金曜日18:30から開催されるセミナー(総合診療部・神経内科・ICU患者の症例検討会)に参加し、問診から治療までの臨床的吟味法を習得した。指先自己穿刺による指先血液による生化学測定およびHPLCによる薬物濃度測定を通じ抗生物質の測定法を習得した。溶出試験器の操作手順を習得し、イトラコナゾール錠を用いて溶出試験を行い、HPLCによりリルマザホンが混在するかを確認した。今回の製造ロットでは異物の存在は検出限界以下であった。【考察】保険薬局―大学間の連携(受託研究員制度の活用)を利用した薬剤師に対するリカレント教育という新たな生涯教育を構築した。臨床現場に職を置きながら、定期的、継続的に大学に出向し、高度な薬剤師技術が習得できた。