第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム2
「専門医療機関連携薬局の未来図」

2022年11月5日(土) 15:10 〜 16:40 第1会場 (3階 メインホール)

座長:縄田 修一 (昭和大学病院 薬剤部 課長/昭和大学薬学部 准教授), 座長(オーガナイザー):下川 友香理(総合メディカル(株) 学術情報部 部長)

[SY2-1] 専門医療機関連携薬局としてのこれまでとこれから~福岡大学病院との連携を中心に~

加藤 正久 (福岡市薬剤師会薬局七隈店 副薬局長)

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福岡市薬剤師会薬局七隈店は2021年8月1日に地域連携薬局及び専門医療機関連携薬局の認定を取得した。
当薬局は、いわゆる服薬情報提供実績について、2020年7月時点では要件に満たない状況であったが、主な連携先医療機関である福岡大学病院が連携充実加算届出後に保険薬局へ働きかけたこと及び改正薬機法等の施行等も背景とし、がん患者に対する薬剤使用期間のフォローアップ体制の構築を行った。本体制は、「実施レジメンの選定」「対象レジメンにおけるフォローアップ必要性の事前評価」「トレーシングレポート標準様式の作成」の3要素で構成されている。2020年9月より、CapeOX±Bevacizumab療法を受けている患者を選定し、本治療を受けているがん患者は全例がフォローアップ対象となり得ることを事前評価することで、薬局全体として個々の薬剤師の研鑽の方向性を集中し、対象患者への声掛けを行いやすくした。同時に福岡大学病院でも薬局におけるフォローアップの実施について化学療法施行中に案内されており、薬局での案内がよりスムーズにできた。また、トレーシングレポートの標準様式を作成することで、業務効率化を図ると同時にフォローアップ時の聴取内容の標準化にもつながっている。本様式では聴取内容の報告だけでなく必ず薬剤師の評価を記入する内容とし、フォローアップに関する継続的な質の向上を図った。福岡大学病院からは送信内容に関する返答があり、次回受診時に参考になりうる情報があれば記載されていたため以降のフォローアップにとても参考になった。
 フォローアップを実際に行うということは、がん患者への薬物療法に対する薬局薬剤師の関わり方について、意識・知識の両面から大きな後押しとなっており、これらが正のスパイラルとなっていくことが期待される。専門医療機関連携薬局はこの起点となっていくことで地域の高度薬学管理機能を高めていく役割も果たしていくべきと考える。
薬局の認定制度は、制度開始から日も浅く発展途上の制度であるとも言え、専門医療機関連携薬局が果たすべき社会的役割をまだまだ掘り起こしていく必要もあると考える。本講演では、認定を受けている薬局の中で充実させていくべきこと、また認定を受けている薬局が地域・社会に対して果たしていくべき役割についても提言していきたい。