第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム3
「在宅緩和ケアにおける多職種連携~薬局薬剤師に求めるもの~」

2022年11月5日(土) 10:30 〜 12:00 第2会場 (5階 国際会議室501)

座長:三渕 博史(公益社団法人熊本県薬剤師会 常務理事), 副座長:橋本 広大 ((株)ファーマダイワ 調剤事業部 副部長)

[SY3-2] 在宅緩和ケアにおけるケアマネジャーの役割

益永 佳予子 ((株)ファーマダイワ ファーマダイワ介護サービスセンター 主任介護支援専門員・保健師)

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 ケアマネジャーの役割を一言で表現すると“つなぐことである。ご利用者が望む環境で安心して生活できるよう、人、環境、職種、施設、地域へと介護保険制度内に留まらず幅広くつないでいる。 “つなぐ”ためには課題を上手くパスすることが肝要だ。つまり、“つなぐとはご利用者の生活の安心のための連携である。特にケアマネジャーには医療と介護をつなぐことが期待されている。
 末期がんのご利用者の在宅療養開始の際には、退院前カンファレンスが開催される(コロナ禍ではリモート会議も少なくない)。この退院前カンファレンスでは、医療機関の医療者等と在宅訪問診療を担う主治医、訪問看護師、ケアマネジャーが主な参加メンバーとなり医療情報を共有し在宅での医療ケアの提供方法を確認する。更に、退院後にはケアマネジャーの呼びかけでご自宅において、訪問診療の主治医、訪問看護師、薬剤師、ヘルパー、福祉用具スタッフなど一同に会し(コロナ禍では最小限のメンバーにて)、誰がいつ、どのようなケアを提供するのかを具体的に共有するためにサービス担当者会議を開催する。この一連の過程により、ご利用者とご家族に安心していただくと共にケアチームの意思の疎通を図り目標を共有することができる。そして在宅緩和ケアが始まると、ご利用者はご家族と共に自分らしい生活の中で医療や介護サービスを利用しながらその延長上で最期を迎えられることも少なくない。
 このような在宅緩和ケアでは、ご利用者の苦痛の緩和、症状マネジメントは医師・看護師・薬剤師が、ケアマネジャーは、医療者と連携しながら生活全般のマネジメント実践している。ここ数年在宅チームには薬剤師に加わっていただくことが多くなった。ケアマネジャーの立場から認識できる訪問薬剤師の効果として、ご利用者が服薬しやすいよう剤型の変更など提案で治療効果が向上すること、訪問看護師が本来のご利用者の心身のケアに専念できること、更に残薬が減ることで医療費の無駄遣いが防止できる(国民的視点)ことなどが挙げられる。このように薬剤師は在宅緩和ケアに欠かせないばかりか、訪問診療を利用していない通院中のご利用者にも関わっていただき前述のような効果を発揮している。薬剤師への期待は大きい。
 地域には様々な課題がある。ケアマネジャーとしてこれからもご利用者に応じた社会資源をつなぎケアチームを構築し地域課題解決をしたい。