第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム3
「在宅緩和ケアにおける多職種連携~薬局薬剤師に求めるもの~」

2022年11月5日(土) 10:30 〜 12:00 第2会場 (5階 国際会議室501)

座長:三渕 博史(公益社団法人熊本県薬剤師会 常務理事), 副座長:橋本 広大 ((株)ファーマダイワ 調剤事業部 副部長)

[SY3-4] 在宅緩和ケアにおける薬局薬剤師の役割

山下 晃史 ((株)ファーマダイワ 南熊本調剤薬局 薬剤師)

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近年、がん終末期患者の在宅での看取りが増加している。実際に当薬局でもがん終末期患者の訪問依頼は増加しており、直近1年で52件の看取り症例を経験している。がん終末期患者の在宅医療では、多職種と連携しながら医療用麻薬をはじめ苦痛緩和のための医薬品の適正使用や管理を行うことが重要となる。しかしながら、一般的に薬局薬剤師の場合、多職種連携や医療用麻薬の服薬指導経験が少ないため初めて在宅がん終末期患者を担当する際は、どのようなことにポイントを置いて介入すればいいのか分からず不安になることが多いと思われる。保険薬局で在宅がん終末期患者の受け入れが進まない要因として、マンパワー不足や医療用麻薬の在庫などの経営上の問題がよく挙げられるが、このような心理的な要因も大きく関与しているものと推測される。
本シンポジウムでは当薬局が在宅医療に本格的に参入してからの12年を振り返ると共に、①初めて在宅がん終末期患者に関わった事例、②在宅緩和ケアにおいて積極的な処方提案を行い患者のQOLが向上した事例、③在宅がん終末期患者に対する坐剤挿入や貼付剤貼付などの直接接触行為を実施した事例、の3つの症例を紹介し、在宅緩和ケアにおける薬剤師の役割や多職種連携および薬学管理のポイントについて解説したい。
また現在、内閣府の規制改革推進会議の医療・介護ワーキング・グループで議論されている職種を超えてタスクを分担する「タスクシェア」について薬剤師の立場から在宅現場の実情と照らし合わせて、その有用性や課題について考えていきたい。