第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム8
「リフィル処方の現状と展望」

2022年11月6日(日) 14:50 〜 16:20 第2会場 (5階 国際会議室501)

座長:上妻 弘明 ((株)タカラ薬局 店舗統括本部 薬事部長)

[SY8-4] 大規模チェーン薬局におけるリフィル処方箋の現状と展望

渡邉 みなみ1, 緒方 直美2, 落合 望2, 小寺 亜矢2 (1.クラフト(株) さくら薬局グループ マネージャー, 2.クラフト(株) さくら薬局グループ)

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2022 年度診療報酬改定でリフィル処方箋が導入された。これまでリフィル処方箋の議論は6 年前の分割調剤から始まり、当時は薬剤の長期保存の可否や後発医薬品の初回使用のお試しの判断から始まった。ただこの分割調剤はなかなか浸透されなかったこともあり、今回の改定で本格的にリフィル導入にメスが入った。リフィルの最終的な目的は患者の通院負担と医療機関の外来縮小が目的だ。我々薬局薬剤師としても機を逃すことなく、積極的に取り組むべきである。
リフィルとは繰り返しという意味だが処方箋をただ応需すればいいと言うことではなく、2 回目以降のリフィル処方箋において、薬局薬剤師が服用継続の可否や副作用発現の気付き等を判断し、どのように医師と連携を図り、より良い医療を提供すべきか今まで以上に考える必要性がある。
さくら薬局グループでは、まず社内のリフィル処方箋受入体制を整えるため、初回受付時から次回来局予定までの服薬フォロー等の運用について構築するところからスタートした。リフィル処方箋導入当初は受付自体が少なかったが、毎月着実に応需枚数が増えてきている状況である。そのため次の段階として現在リフィル処方箋を応需している薬局に2回目以降のリフィル処方箋の受付があったかどうかや疑義照会の有無、更には受診勧奨をした事例についてアンケート調査を行った。その結果、薬局薬剤師が受診勧奨すべく理由の理解や医師への情報提供内容が不十分であることが分かった。
当薬局では十分な対応ができるように、リフィル処方箋の対象となる疾患別にチェックシートを作成し、それに基づき医師へのフィードバックのためのトレーシングレポートを作成し提出した。これらの取り組みはリフィル2 回目以降だけではなく服薬期間中のフォローアップにも活用した。
今回のシンポジウムでは導入後の取り組みについてと疾患別チェックシートを用いた好事例について共有したい。薬剤師業務が対人業務にシフトして行く中、リフィル処方箋においても薬剤師の対人スキルや臨床スキルが求められている。
リフィル処方箋の薬を出すだけの対物業務に甘んじている薬局薬剤師は淘汰されることが予想され、リフィル処方箋解禁により生き残りをかけた薬局薬剤師が、今できることについて議論を交わしたい。