第17回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

Mon. Oct 9, 2023 2:50 PM - 3:30 PM ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-009-C] 医薬品の流通状況について医療機関への能動的な情報提供が疑義照会の頻度に与える影響

武井 隼 ((株)ぱぱす ぱぱす薬局 月島1丁目店)

【目的】
昨今、医療用医薬品の流通状況が悪化している。一般社団法人日本保険薬局協会(2023)の報告では、後発医薬品の流通は2022年7月時点と比較して、状況が悪化している・やや悪化していると回答した割合が62.2%にのぼっており、解消の目処はたっていない。処方された医薬品が入手困難である場合、代替品に変更するために疑義照会が必要な場合があり、これが保険薬局での業務負担に繋がっている。今回、この負担を解消するため、処方箋応需後の受動的な疑義照会ではなく、事前に医療機関への能動的な情報提供を行うことにより、疑義照会の頻度に与える影響を検証したので報告する。
【方法】
実施対象期間は2022年8月~2023年3月。門前医療機関1件に事前同意を取得の上、4回/月を目安として医師の処方頻度が高い医薬品の流通状況や当局医薬品在庫状況の共有を対面で行った。取り組みの効果は、期間の前後において代替品に変更するための疑義照会件数で評価した。
【結果】
疑義照会件数は、2022年8月には15件/月であったが、以降1ヶ月毎に、1月あたり15件、11件、7件、6件、1件、2件、1件と徐々に減少した。また、各月における当該医療機関からの処方箋応需回数については大きな変化はなかった。尚、今回の取り組みにより医師からは「疑義照会対応が少なくなったので、より診察に集中できている」「医薬品流通状況が把握できるので、処方する際に対応がスムーズになっている」等といった声を頂いた。
【考察】
疑義照会の件数が減ったことから、処方箋発行前における能動的な情報提供が疑義照会の頻度の減少に繋がる可能性が示唆された。また、疑義照会対応を行う医師の対応負担も軽減した声があったことから、引き続き当該取り組みを継続しつつ、今後は、診療上、医師が求める他の医薬品情報提供についても検討し、診療に与える影響についての検証を視野にいれていきたいと考えている。