第17回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

Mon. Oct 9, 2023 2:50 PM - 3:30 PM ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-048-C] 薬局薬剤師が認識する患者とのコミュニケーションの状況と課題

柴山 優人, 長井 麻希江, 金本 郁男, 高橋 理沙子, 大浦 将, 濱井 雅文, 梶原 博光 ((株)アモール)

【目的】
薬剤師のコミュニケーション能力向上が求められる中、国内においてその実態報告は少ない。本研究の目的は薬局薬剤師が認識する患者とのコミュニケーションの実態を把握し、課題を検討することである。
【方法】
地方都市の薬局薬剤師87名に対して無記名の自記式質問紙調査(22項目)を実施した(調査期間2021年11月~2022年7月)。調査票は社内研修前に机上配布し、自由意思にて回収箱に投函してもらった。データは単純集計後、経験年数別・職位別の違いを解析した(Mann-Whitney U test、p<0.05)。自由記載欄に記述された質的データは、「自己のコミュニケーションが十分でないと感じる理由」をテーマに主題分析を行った。本研究は富山県薬剤師会倫理審査委員会の承認を得て行った(承認番号:富薬-2021-004)。
【結果】
87名の調査票が回収された(回収率100%)。全項目で経験年数による有意な違いはなく、2項目で職位別の違いがあった。患者に対してあいさつを「概ね行っている」「十分に行っている」者は全体の97%だったが、個別的な相談窓口の案内は36%、在宅医療相談の実施は34%など実施率が低い項目もあった。自由記載欄には30名(34.5%)の記述があり、自己のコミュニケーションが十分でない理由として【時間の限界】、【ルーティン化やスキル不足】、【患者に対する苦手意識】、【ニーズが多様で難しい】、【患者の体調による限界】、【情報不足】、【業務環境の限界】の7つのカテゴリーが得られた。
【考察】
薬局薬剤師の認識として、表面的なコミュニケーションの自己評価は高いが、踏み込んだ対話には消極的な傾向が認められた。その理由として話す時間が不足していることなどが挙げられた。他方、対話のスキル不足を感じる者にはトレーニングの必要性が、患者への苦手意識やニーズ把握には薬局内の相互支援が重要と考えられた。