第17回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

Mon. Oct 9, 2023 2:50 PM - 3:30 PM ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-075-C] 話さない患者~服薬中フォローアップハガキ活用術~

野口 涼介, 杉之原 宏美, 瀬戸 理光, 酒井 麻友美, 大橋 幸治, 高村 幸子 ((株)新生堂薬局 新生堂薬局 柳川店)

【目的】
薬剤師は患者が安全安心に薬剤を使用するため、患者の特性や疾病の特性、薬剤の特徴に合わせて適切にフォローアップを施す必要がある。しかし自身の症状を医師や薬剤師にうまく伝える事ができない精神科の患者は多い。全ての患者に適切なフォローアップが出来ているとは言えない状況である。そこで、服薬中フォローアップにハガキを活用し、診察室や薬局であまり話さない患者の内に秘めた問題を改善できた症例を紹介する。
【方法】
2021年1月から7月に来局した門前心療内科のあまり話さない患者を対象とし、ハガキを渡した。返信内容をもとに問題点を抽出し、処方元に報告した。
【結果】
生活リズムが乱れて毎食後就寝前の用法では飲み方が分からず混乱しているという問題点が判明した症例。患者の主訴をもとに処方元へ報告した。毎食後就寝前の用法が12時、16時30分、21時、23時の時間指定の用法に変更になり、患者のストレスが解消された。足元がフラフラして歩行が不安定であるという問題点が判明した症例。家族の主訴をもとに処方元へ報告した。フルニトラゼパム錠2mgが1mgに減量、オランザピン錠2.5mgが中止となり、患者の歩行状態は安定した。【考察】
ハガキは自身の症状を医師や薬剤師に伝える事が出来ない患者への有効なツールとなることが判明した。診察室や薬局では訴えのない患者も悩みやストレスを内に秘めていることが多い。患者が自覚していない問題点を家族が知っているケースもある。薬剤師は薬局での服薬指導だけではなく、服薬中フォローアップハガキのようなツールを用いて患者の内に秘めた問題点にアプローチしていかなければならない。我々が「話さない」と感じていた患者は「話さない」ではなく、話したいことがあっても「話せない」患者だったのではないか。精神科の患者が来局する薬局に今回の症例を共有することで、より多くの患者の内に秘めた問題を解決していきたい。