第17回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

Mon. Oct 9, 2023 2:50 PM - 3:30 PM ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-078-C] 骨吸収抑制薬服用患者に対する顎骨壊死の意識調査と分析

野村 悠1, 岡田 翔1, 綛谷 理賀1, 小紫 正人1, 網屋 尋士2, 藤井 貴子2 (1.かもめ薬局加古川健康館, 2.トライアドウエスト(株))

【目的】
骨粗鬆症治療薬である骨吸収抑制薬には重大な副作用として顎骨壊死が知られており、抜歯など侵襲的歯科治療後に発症する頻度が最も高いと報告されている。当薬局で骨吸収抑制薬による顎骨壊死発症の症例を経験したため、骨吸収抑制薬にて治療中の患者に顎骨壊死に対する意識調査を実施する。【方法】
まず、対象期間2021年12月1日~2022年12月31日に、当薬局に来局した骨吸収抑制薬服用患者465名のうち、BP製剤からSERM製剤へ変更になった患者を分析した。次に、対象期間2022年12月1日~2023年3月31日において、骨吸収抑制薬服用中の患者301名に対し、顎骨壊死の理解度、危険因子の有無、歯科定期受診の有無、兆候症状の有無について意識調査をした。本調査のオプトアウトについては弊社ホームページと薬局店舗に掲載した。
【結果】
骨吸収抑制薬服用患者465名のうち、服用薬を変更した患者は5名おり、分類は顎骨壊死発症者2名、兆候症状発症者1名、歯科治療中・予定者が2名であった。骨吸収抑制薬服用患者301名の意識調査では、理解度あり78人、なし223人、危険因子あり261人、なし40人、歯科定期受診あり149人、なし152人であった。顎骨壊死兆候症状がみられた患者3名、リスクが高い患者1名について電話や訪問でフォローを行い、処方医には情報提供書を提出した。
【考察】
意識調査対象患者の86.7%が危険因子を持ち、顎骨壊死発症リスクが高い一方で理解度の低さが問題である。顎骨壊死発生頻度は0.5%であり、経口製剤よりも注射製剤で顎骨壊死のリスクに関与がみられる。本研究では、抜歯、BP製剤の長期服用が顎骨壊死に及ぼす影響は見いだせず、更なる調査が必要である。また、侵襲的歯科処置が行われる場合は処方医と歯科医師の連携が必要であるが、構築されていないのが実情である。そこで、薬剤師が介入して情報提供やSERM製剤変更への処方提案ができれば早期発見・早期治療に貢献できると考える。