第17回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

Mon. Oct 9, 2023 2:50 PM - 3:30 PM ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-081-C] 認知症患者の重度低血糖症状回避とアドヒアランス改善に至った1症例

向井 正幸1, 西野 円香2, 西風 香那3, 服部 翔4 (1.フロンティア薬局北古市店, 2.福島店, 3.一津屋店, 4.(株)フロンティア大阪支店)

【目的】
高齢者糖尿病では低血糖症状が自覚しにくいため重症化する可能性が高く、これは認知機能障害のリスクになると言われている。その為、日本糖尿病学会、日本老年医学会では中程度以上の認知症で重度低血糖が危惧される薬剤を使用中の患者の目標HbA1c下限値は7.5%を推奨している。今回、薬剤師の関与により重度低血糖のリスク回避とアドヒアランス向上に貢献できた事例を経験したので報告する。
【事例】
神経精神科でドネペジル塩酸塩錠10mg、内科で13種類の薬を服用中の70歳代男性糖尿病患者。血糖降下薬として昼食直前にレパグリニド錠0.25mg、朝食後にダパグリフロジン錠10mgが処方されていたが、アドヒアランス不良のため同居者も配薬に不安があると確認した(Day1)。過去1年の採血結果はHbA1c6.4~6.7%、空腹時血糖値100mg/dL前後と安定しており、昼食は少量摂取のためDay47にトレーシングレポート(TR)により患者背景と推奨HbA1c目標値を報告し、レパグリニド錠0.25mgの減薬提案を行ったところ、Day63に処方中止となった。また、内科と神経精神科は別日受診、別調剤となっていることがアドヒアランス低下の要因であると確認したため、複数科一包化の提案をDay47、89に各処方医へTRにて行った。Day91、調剤済薬剤の整理と複数科一包化を行い、服薬指導を実施した。Day150、178のHbA1cと空腹時血糖値は減薬前と変わらず、服薬アドヒアランスも良好と確認した。
【考察】
患者背景を確認することで、低血糖が危惧される薬剤の減薬につながり、重度低血糖を未然に回避し、結果的に認知機能悪化を防ぐことに寄与できたと考える。さらに、服薬アドヒアランスの向上に寄与することで、適切な薬物治療の提供に貢献できたと考える。