第17回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

2023年10月9日(月) 13:10 〜 13:50 ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-145-A] 在宅医療において薬局薬剤師が訪問看護師に期待される業務の調査研究

鈴木 美保, 阿部 麻友子 ((株)なの花東日本 なの花薬局 梅島店)

【目的】
地域包括ケアの中で、多職種間の橋渡しとして重要な役割を担う訪問看護師(以下、訪看)との連携が重要と報告されている。多職種連携と在宅医療提供体制の質の向上のため、訪看が薬局薬剤師に期待する業務を明らかにすることを目的とした。
【方法】
2023年2月1日から4月30日に、足立区内の訪問看護ステーションの訪看95人、弊社の2022年に在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定した薬剤師106人にそれぞれ無記名アンケートを行った。訪看には薬剤師に期待する業務・機能していると思う業務(複数選択)、薬剤師の在宅業務への要望(自由記述)、薬剤師には訪看から依頼された業務(複数選択)等を調査した。
【結果】
訪看39名、薬剤師45名から回答を得た。訪看が薬剤師に最も期待する業務は「残薬調整」95%、次いで「患者状態毎の調剤(一包化・粉砕)(以下、調剤方法の工夫)」「お薬カレンダーへのセット(以下、配薬)」共に90%だった。機能していると思う薬剤師業務は「薬の配達」90%、「配薬」85%の順に多く、「残薬調整」は49%、「調剤方法の工夫」は54%で、「外用・頓服薬の残薬調整も希望」「病歴・生活等個別性に合った対応希望」という要望があった。一方、薬剤師が訪看から依頼された業務は「配薬方法の変更」40%が最も多かった。
【考察】
訪看は薬剤師に対して、外用・頓服薬含めた残薬調整や、個別性に合った調剤方法の工夫・配薬等の業務を期待していることが明らかとなった。しかし、残薬調整や調剤方法の工夫を評価する訪看は半数にとどまり、これらの対応は不十分な可能性がある。また、配薬方法の変更は半数ながらも薬剤師が最も依頼されており、患者毎の個別性への対応が求められていると考えられる。今後、日常的な訪看との連絡やサービス担当者会議等で、患者毎の病態や認知力・生活環境等の患者情報の把握に努め、訪看が薬剤師に求めるこれらの業務に取り組み、薬剤師の在宅医療への貢献度向上を目指したい。