第17回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

2023年10月9日(月) 13:10 〜 13:50 ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-148-A] 在宅患者に発症した帯状疱疹への早期対応に薬局薬剤師の介入が貢献した事例

高田 偉穏1, 小林 大悟2, 伊藤 将3, 市ノ渡 真史3, 長谷川 佳孝3, 大石 美也3 (1.アイングループ(株)アインファーマシーズ アイン薬局 旭川八条通店, 2.五条御前店, 3.(株)アインホールディングス)

【目的】
患者のための薬局ビジョンでは、超高齢社会における地域包括システムの構築に向けて、薬局薬剤師にかかりつけ機能の一環として在宅医療への積極的な関与を求めている。そこで、当社グループの薬局薬剤師が在宅患者に発症した帯状疱疹への早期対応に貢献した事例から、在宅訪問時に薬局薬剤師が果たすべき役割を考察した。
【事例】
慢性心不全や糖尿病等の病歴を有し、認知機能の低下がみられる施設入居の80歳代女性患者に対して、薬局薬剤師は普段から下肢浮腫やHbA1c等の確認を行っていた。X日に、患者より左下肢の疼痛の訴えがA医師にあり、アセトアミノフェン錠300mgが処方された。そこで、薬局薬剤師が訪問薬剤管理指導を実施し、その際に左下肢の膝からふくらはぎにかけた紅斑と水疱に気づいた。患者より「別医療機関のB医師より処方されたプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル軟膏を塗布しているが、かゆみが強く、掻破した」と聴取し、「ステロイド軟膏では皮膚症状の改善が見込めず、医師の再診が必要」と考え、患者同意のもとで撮影した患部写真を添付した報告書をA医師に提出した。X+1日にA医師が臨時往診し、帯状疱疹と診断された。ファムシクロビル錠250mg、ビダラビン軟膏が処方され、ステロイド軟膏は中止となった。X+15日にプレガバリンカプセル25mgが追加処方されたが、疼痛が改善したため、X+36日には中止となった。以降、疼痛の再燃は見られていない。
【考察】
本事例では、在宅訪問時における薬局薬剤師のフィジカルアセスメントと患部写真を用いた具体的な医師への報告が、患者の病状変化に対する早期発見につながり、迅速な対応が必要となる帯状疱疹への早期対応に貢献した。したがって、薬局薬剤師は在宅訪問時に患者のフィジカルアセスメントや多職種連携にも注力して適切な薬学的管理を実施し、安全かつ効果的な在宅医療の実現に貢献することが重要と考える。