第17回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

Mon. Oct 9, 2023 2:50 PM - 3:30 PM ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-204-C] 薬局薬剤師の基本的資質とコミュニケーションスキルの調査結果と今後の展望

岩田 孝彰, 金子 武史, 初崎 ちあき, 鈴木 弘誉, 伊藤 由紀 ((株)スギヤマ薬品 薬事本部)

【目的】
医療者のコミュニケーションによって、患者の満足度、医療者への信頼、そして近年では健康上のアウトカムにも影響を及ぼすことが明らかにされている。そこで、当社の調剤専門薬局およびドラッグストア併設店の薬剤師のこれまでのコミュニケーションのトラブルの有無を調査し、薬剤師として求められる基本的資質(以下、基本的資質)への認識、社会性スキルの調査を行い、問題点を明らかにする。
【方法】
無記名式のアンケート調査を行った。アンケート内容は、薬剤師の業務中に経験したコミュニケーションのトラブルの有無とその内容について記載してもらった。モデル・コア・カリキュラムに記載された基本的資質10項目について、および、社会性スキル(KiSS-18)について回答者自身がどの程度該当するか5段階評価してもらった。
【結果】
回収したアンケートは317枚。コミュニケーションのトラブルの経験の有無は、「はい」が全体の64.0%、「いいえ」が33.1%であった。基本的資質の10項目の中で自己評価が高かった項目の平均値は、プロッフェッショナリズムが3.85、コミュニケーション能力が3.86であった。一方で、科学的探求、情報・科学技術を活かす能力に対する自己評価の平均値は2.94と低かった。KiSS-18の結果は高社会的スキル群が全体の67.8%、低社会的スキル群が32.2%であった。基本的資質の項目もKiSS-18もコミュニケーションのトラブルの有無による違いは認めなかった(p<0.05)。
【考察】
当社の薬剤師の多くがコミュニケーションのトラブルを経験していることが明らかになった。トラブルの有無に関わらず、基本的資質のコミュニケーション能力の自己評価は高く、高社会性スキル群が多いことから、患者や家族と積極的にコミュニケーションをとる傾向があり、自ら行動修正をしている可能性があると思われた。今後、良好なコミュニケーションを図るためのスキルや必要な態度を明らかにしていきたい。