第17回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

Mon. Oct 9, 2023 2:50 PM - 3:30 PM ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-225-C] 服薬アドヒアランス向上とSDGs達成の両立に向けた患者支援に関する質的研究

石和 由衣1, 小池 杏奈1, 島 優馬2, 丸田 勇樹3 (1.(株)フロンティア フロンティア薬局 原町店, 2.(株)フロンティア フロンティア薬局 日立店, 3.国際医療福祉大学大学院 薬学研究科 医療・生命薬学専攻)

【目的】
薬剤の交付方法や包装について、薬剤師が患者に提案する際の思考プロセスは明確化されておらず、個人の裁量に左右されることが多い。調剤業務とSDGsを統合した実現性のある取り組みを探索するため薬剤師にインタビューを行い、全体像の理解を目指す。
【方法】
分析方法として質的研究法の一つである修正版グラウンデットセオリー(M-GTA)を用いた。分析テーマは「服薬アドヒアランスを担保しつつ、調剤・包装変更を提案するための患者支援」と設定し、インタビューの逐語録から概念を生成した。2023年2月16~28日に、保険薬局に勤務する薬剤師12名(女性:8名、男性4名、25歳~50歳)を対象とした。
【結果】
薬剤師が調剤方法や包装を選択する際の思考プロセスは以下の通りであった。まず、薬剤師は調剤方法や包装を取り揃える<1:支援の準備>を行っている。もし、患者が調剤方法や包装を選択できる機会があれば<2:選択の支援>を行い、選択を行わせる。この際に、服薬状況やライフスタイルを踏まえ、適切な選択を行えている場合には結果を受け入れ、正しい選択が行われない場合には<3:適正使用に向けた支援>が行われる。しかし、提示された支援を拒否し不適切な場合には、<4:拒否への支援>が行われる。不適切な選択肢を選ぶことに固執した場合には<5:こだわりへの支援>が行われる。薬剤師と患者双方が容認できるまでこの一連の支援は繰り返され、服薬アドヒアランスを担保しつつSDGsに配慮した患者支援が両立する。
【考察】
上記プロセスにおいて、支援1と2では過剰な調剤方法・包装を抑制できる。また、支援3~5では患者背景が考慮されており、 SDGsつくる責任つかう責任に対応しつつ個別の対応が可能となる。したがって、支援のサイクルを繰り返すことで患者の希望に沿う形式でアドヒアランスの向上とSDGs両立の達成が期待できる。