第17回日本薬局学会学術総会

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シンポジウム

シンポジウム1
「在宅医療における地域連携薬局への期待」

Sun. Oct 8, 2023 2:40 PM - 4:40 PM 第1会場 (1号館2階 センチュリーホール)

座長:亀井 浩行(名城大学薬学部 病院薬学研究室 教授)

[SY1-3] 病院薬剤師の視点から地域連携薬局に求められること

水野 智博 (藤田医科大学病院 薬剤部 副薬剤部長・准教授)

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 2019年より、医療機関と連携することで、専門性が求められる調剤や高度な薬学管理に対応できる「専門医療機関連携薬局」、入退院時や在宅医療に他医療提供施設と連携して対応できる「地域連携薬局」に対する認定制度が開始され、制度認定を通じ、在宅医療における薬薬連携の推進および多職種連携の深化が求められている。しかしながら、認定を受けている薬局は少なく、がん領域、栄養領域等に精通した薬局薬剤師の育成が必須である。加えて、pharmacist-scientistsとしての素養を持つ薬局薬剤師が少なく、上記認定薬局の機能を生かし切れていない現状がある。
 上記課題を解決するため、地域包括ケアにおける人材育成を目的とし、藤田医科大学(当院)と株式会社スギ薬局間で地域医療連携に関する基本協定が策定された。同協定に基づき、藤田医科大学病院薬剤部内にて、薬局薬剤師の研修およびpharmacist-scientists育成活動を実施している。
 研修内容としては、調剤室での投薬研修(内服抗がん剤の指導等)、栄養サポートチーム(NST)回診研修、退院時カンファレンス研修、入退院センターにおける周術期支援研修、病院薬剤師による在宅訪問への同行、ポリファーマシーカンファレンス研修、抗がん剤調製研修を行っている。研修を通じて、今後地域連携薬局で求められる薬学的視点に基づく継続的な栄養サポート、多剤併用患者に対する薬学的介入、地域薬局側からの周術期支援について精通した薬局薬剤師の育成に繋がることが大いに期待される。加えて、内服抗がん剤指導症例を蓄積することで、専門医療機関連携薬局で活躍できる薬剤師の育成も目指している。
 pharmacist-scientists育成活動の一環として、博士号取得を目的とした教育を実践している。具体的には、薬剤師の業務評価を目的としたメタ解析の実施、薬局における研修手法の改善を目的とした、オンラインでのチーム基盤型学習導入効果の検証等を行っている。さらに、医学部関連講座と連携することで、従来の薬局業務内で習得が困難であった研究手法を習得でき、地域薬局における研究指導者の育成に繋がることが期待される。
 本シンポジウムでは当院での取り組みを紹介しつつ、今後の地域連携薬局における薬剤師業務の課題と展望について、概説する。