第17回日本薬局学会学術総会

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シンポジウム

シンポジウム2
「精神科疾患の外来治療 薬局での服薬支援~薬剤師にできること」

Sun. Oct 8, 2023 1:00 PM - 2:30 PM 第2会場 (3号館3階 国際会議室)

座長:和田 智仁(社会医療法人居仁会 総合心療センターひなが 診療技術部薬剤課 リーダー)

[SY2-1] 精神科疾患の治療の変遷

関谷 道晴 (社会医療法人緑峰会 養南病院 理事長・院長)

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 現在精神疾患の治療については薬物療法をはじめ認知行動療法などの精神療法、カウンセリング、またデイケアや作業療法といったリハビリ治療、ほかにも修正型電気けいれん療法や磁気刺激など様々なものがある。しかしこれらの歴史は浅く、例えばクロルプロマジンやハロペリドールといった現在も使われているもっとも古い薬物療法でもせいぜい6、70年の歴史といったところであろうか。
 そもそも現在では気分障害や神経症、依存症や認知症、最近では発達障害など、ありとあらゆる精神疾患が治療の対象になるが、一昔前までは治療の対象になるのは精神病、すなわち統合失調症くらいのもので、精神疾患の治療の歴史というのはこの病との戦いの歴史なのである。
 精神病というのは前時代では得体の知れないものとして扱われることが多かった。突然奇妙なことを口走ったりおかしな行動を取るさまをみて、人は恐怖を覚え、何やら人知を超えた力が働いていると考えることは自然なことであろう。精神病の治療の歴史はこの得体の知れない現象に対し、当時の人間たちがどのように立ち向かってきたかの歴史でもある。
 当日は呪術から始まり、病気として捉えだしてから試行錯誤の上編み出した様々な治療法、そして近代の大身体療法時代、現在の薬物療法へ至る歴史を紹介したい。