第18回日本薬局学会学術総会

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優秀演題候補セッション(ポスター)

優秀演題候補セッション(ポスター)

Sun. Nov 3, 2024 1:00 PM - 3:20 PM ポスター会場 (5階 501+502)

[AP-5-B] 緑内障患者における疑義照会の実態調査及び有用な服薬指導の構築

舘田 明子1, 内田 奈沙1, 本多 秀寿2 (1.(株)フロンティア フロンティア薬局青葉りんご店, 2.(株)フロンティア 東北支店)

【目的】緑内障は日本で中途失明原因の第一位、40歳以上では有病率5%と身近な疾患である。近年、抗コリン薬の添付文書改訂で禁忌として「緑内障」が「閉塞隅角緑内障」に変更になったものの、患者が自身の病型を把握していないことで疑義照会をせざるを得ないケースや、緑内障と他の疾患との関連性について認識していない方が少なくない。そこで、本研究では緑内障に関わる疑義照会について実態調査を行うとともに、病型伝達、その後の意識変化などを追跡する。
【方法】2021年4月1日から2年間に来局した緑内障患者で疑義照会を行った203件の内容について照会に至る経緯(併用薬の種類、禁忌疾患)を分類し集計した。また疑義照会回答を患者に伝えるとともにお薬手帳に疾患名シールを貼付した。さらに、自身の病型把握後の変化、疾患名シール活用有無等の追跡を行った。
【結果】疑義照会(全203件)の内訳は、抗コリン薬併用関連が97.5%(198件)、喘息患者に対しβ遮断薬処方が2.5%(5件)であった。抗コリン薬併用患者の病型内訳は、開放隅角緑内障93.0%(185件)、閉塞隅角緑内障6.5%(13件)、高眼圧症0.5%(1件)であった。そのうち閉塞隅角緑内障患者ではすべてが急性緑内障発作の予防処置済みで抗コリン薬は継続可であった。喘息患者(5件)では80%(4件)がβ遮断薬以外の点眼薬に変更となった。病型に関する知識有りの患者は2%(4件)、病型把握後は今まで購入服用を控えていた風邪薬を安心して購入できるようになった、内科医から緑内障タイプの問いかけにお薬手帳を提示したなどの事例があった。
【考察】疑義照会の多くは抗コリン薬併用に関するものであったことから、患者自身が病型を把握することで抗コリン薬の治療機会喪失を回避できると示唆された。またお薬手帳に病型を記載することで一般用医薬品購入の選択肢が広がること、無用な疑義照会を減らすなど医療機関の連携に貢献できると考える。