[EUS1-1] リアルワールドデータを用いた高齢者における医薬品有害事象およびポリファーマシーの実態調査
一般的に、高齢者は複数の合併症を有し、服用医薬品が増加する傾向がある。一方で、加齢に伴い薬物動態や薬物反応性が変化し、薬物相互作用や有害事象が発現しやすくなるポリファーマシーが問題となっている。しかし、用法・用量の設定根拠となっている治験では、対象患者の範囲および症例数は限定されており、通常、高齢者や多剤併用の患者は対象とされないため、高齢者に対する至適用量の情報は十分とはいえはない。 ポリファーマシーの是正と適切な薬物治療のため、厚生労働省より2018年に「高齢者の医薬品適正使用の指針 (総論編)」が、2019年に「同・各論編 (療養環境別)」が発出された。
我々は、医薬品副作用データベース(JADER)を用いて、本指針の「高齢者で汎用される薬剤の基本的な留意点」等に記載がある薬効群および有害事象を中心に、406の医薬品について報告オッズ比(ROR)に基づいた品目横断的な評価を行った。スクリーニングの結果、135品目について80歳以上で有害事象が増加することが示唆された。
次に、匿名レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用いて、ポリファーマシーの実態と、80歳以上で有害事象が増加していた催眠鎮静薬と直接経口抗凝固薬(DOAC)について処方用量と併用医薬品を調査した。80歳以上の3人に2人は6剤以上、3人に1人は10剤以上の内服薬が1ヶ月間に処方されていた。高齢者で有害事象が増加した催眠鎮静薬のうち、トリアゾラムおよびフルニトラゼパムでは、高齢者に対して高用量を投与している割合が高く、添付文書に高齢者への投与や上限の記載が詳細なゾルピデムやゾピクロンは、用量を超えた使用は少なかった。DOACは添付文書に80歳以上の高齢者に対する注意事項が具体的な数値や指標として明記されており、使用用量は概ねの記載通りに使用されていることが明らかになった。高齢者の投与量に関して添付文書での具体的な注意喚起が適正使用に繋がる可能性が考えられた。
さらに、催眠鎮静薬等が含まれる80歳以上の調剤レセプトにおいて、アソシエーション分析を用いて多剤併用頻度の高い処方の組み合わせについて解析した。催眠鎮静薬処方例において降圧薬や同効薬との併用頻度は高く、有害事象の発現が危惧された。催眠鎮静薬の種類によって併用される医薬品のパターンは異なり、基礎疾患等の患者背景によって使い分けされていることが推察された。
我々は、医薬品副作用データベース(JADER)を用いて、本指針の「高齢者で汎用される薬剤の基本的な留意点」等に記載がある薬効群および有害事象を中心に、406の医薬品について報告オッズ比(ROR)に基づいた品目横断的な評価を行った。スクリーニングの結果、135品目について80歳以上で有害事象が増加することが示唆された。
次に、匿名レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用いて、ポリファーマシーの実態と、80歳以上で有害事象が増加していた催眠鎮静薬と直接経口抗凝固薬(DOAC)について処方用量と併用医薬品を調査した。80歳以上の3人に2人は6剤以上、3人に1人は10剤以上の内服薬が1ヶ月間に処方されていた。高齢者で有害事象が増加した催眠鎮静薬のうち、トリアゾラムおよびフルニトラゼパムでは、高齢者に対して高用量を投与している割合が高く、添付文書に高齢者への投与や上限の記載が詳細なゾルピデムやゾピクロンは、用量を超えた使用は少なかった。DOACは添付文書に80歳以上の高齢者に対する注意事項が具体的な数値や指標として明記されており、使用用量は概ねの記載通りに使用されていることが明らかになった。高齢者の投与量に関して添付文書での具体的な注意喚起が適正使用に繋がる可能性が考えられた。
さらに、催眠鎮静薬等が含まれる80歳以上の調剤レセプトにおいて、アソシエーション分析を用いて多剤併用頻度の高い処方の組み合わせについて解析した。催眠鎮静薬処方例において降圧薬や同効薬との併用頻度は高く、有害事象の発現が危惧された。催眠鎮静薬の種類によって併用される医薬品のパターンは異なり、基礎疾患等の患者背景によって使い分けされていることが推察された。