第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(口演)

一般演題(口演)
セルフメディケーション・栄養・食事・公衆衛生・社会薬学

2024年11月3日(日) 10:40 〜 11:30 第7会場 (4階 414+415)

座長:長谷川 佳孝(株式会社アインホールディングス 医療連携学術部 学術課長 シニアマネジャー /明治薬科大学)
副座長:増田 千穂(たんぽぽ薬局株式会社 薬局事業本部 学術研修部 学術研修課 係長)

[O-7-19] 保護者にとって服用させやすい小児用散剤とは:記述的研究

藤本 学, 一井 亮吉, 多田 貴彦 ((株)永冨調剤薬局)

【目的】一般に小児用散剤において、においと色は主張の強いものは避け、甘味についても味覚形成への好ましくない影響を考慮し控えめであることが望ましいとされているが、保護者が望む小児用散剤については明らかにされていない。そこで、保護者にとって服用させやすい小児用散剤に求められる特徴を明らかにすることを目的に調査した。
【方法】主に小児科の処方箋を応需している永冨調剤薬局2店舗において、2023年10月1日から11月30日の期間に16歳未満の患者の処方箋を持参した保護者を対象とした。服用時のストレスや、理想とする小児用散剤の甘味・におい・色の程度について5段階のリッカート尺度で評価し、服用時のストレスによるサブグループ解析を行った。理想とする甘味・においが強く、色が濃いほど、高得点となるよう設計した。また具体的な特徴については自由記述を解析した。
【結果】147人の保護者から回答を得た。年齢の平均値(標準偏差)は、保護者で36.6(±5.4)歳、小児で4.7(±3.2)歳であった。リッカート尺度における甘味・におい・色の平均値(標準偏差)は2.50(±1.00)、1.39(±0.74)、1.44(±0.85)であった。サブグループ解析では、甘味の評価に差がみられた(非常にストレス:1.88(±1.25)、その他:2.53(±0.97))。また自由記述における味・におい・色の特徴として出現率が最も多い単語は、無味(34.3%)、無臭(32.4%)、無色(44.4%)であった。
【考察】服用を嫌がる小児においては、甘味による飲みやすさよりも薬の存在感による拒否感が上回る可能性が示唆された。小児は離乳期を過ぎ自我が発達する頃より味の嗜好が出てくるため、それらへの対応が容易な無味・無臭・無色の散剤がより多くの保護者にとって好まれると考えられる。