[P-058-A] 一包化した薬の含量測定の比較検討
【目的】在宅医療では処方された薬剤を確実に服用することで治療が成立する。調剤時に薬剤の安定性と薬剤間の相互干渉を避ける目的で製薬会社や調剤薬局の都合により、既定の剤型のまま調剤することが多い。しかし患者の負担軽減と服薬の利便性を期待し、患者より薬剤の一包化を依頼される。その際、薬剤の変色という不都合をしばしば経験する。今回オルメサルタンとメトホルミンが処方された患者にて、添付文書の「適用上の注意」に「2剤を共に一包化すると変色するので避けるように」との記載がある組み合わせが生じた。そこで両薬剤を一包化した際の変色の程度と含量の変化を調査し、一包化した際に患者が安全して服用できる期間と条件の模索を行った。
【方法】今回は実際の患者居宅での保管状況を想定し再現した条件での観察を行った。変色はメトホルミンに発生することから、薬剤を一包化した状態で、薬剤単独時と両薬剤存在時を遮光保存下(温度18~25℃、湿度40~60%)と直射日光保存下(温度26~40℃、湿度30~40%)にて保存した。一包化はユヤマSINGLE-R93-III、分包紙は70Wセロポリ(20)無地SC-2を使用し、メトホルミン含量をHPLCにて測定した。
【結果】今回の一包下の条件では保存期間中での変色は観察されなかった。ただし保存1か月後には、単独時と両剤存在時でもメトホルミンの含量が低下した。遮光下での含量低下は軽微であったが両剤存在下、直射日光保存下では含量低下は著しかった。
【考察】患者の認知力に問題が見られないこと、複数種類の薬剤を服用していること、患者は治療に積極的である姿勢から一包化を行い、保存の注意点を説明することで、安全な服用を達成できた。患者のコンプライアンス向上に一包化は有効な手段であるので、調剤薬局での機器と分包紙の選択により服用方法の可能性が広げることができた。今後は薬剤の組み合わせ、一包化の保存日数ごとの含量の減少率を検討したい。
【方法】今回は実際の患者居宅での保管状況を想定し再現した条件での観察を行った。変色はメトホルミンに発生することから、薬剤を一包化した状態で、薬剤単独時と両薬剤存在時を遮光保存下(温度18~25℃、湿度40~60%)と直射日光保存下(温度26~40℃、湿度30~40%)にて保存した。一包化はユヤマSINGLE-R93-III、分包紙は70Wセロポリ(20)無地SC-2を使用し、メトホルミン含量をHPLCにて測定した。
【結果】今回の一包下の条件では保存期間中での変色は観察されなかった。ただし保存1か月後には、単独時と両剤存在時でもメトホルミンの含量が低下した。遮光下での含量低下は軽微であったが両剤存在下、直射日光保存下では含量低下は著しかった。
【考察】患者の認知力に問題が見られないこと、複数種類の薬剤を服用していること、患者は治療に積極的である姿勢から一包化を行い、保存の注意点を説明することで、安全な服用を達成できた。患者のコンプライアンス向上に一包化は有効な手段であるので、調剤薬局での機器と分包紙の選択により服用方法の可能性が広げることができた。今後は薬剤の組み合わせ、一包化の保存日数ごとの含量の減少率を検討したい。