第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

2024年11月3日(日) 13:50 〜 14:30 ポスター会場 (5階 501+502)

[P-059-B] 慢性腎臓病患者への服薬フォローアップが副作用と状態悪化への早期対応に繋がった一例

熊 茉奈美, 谷 恭輔, 日高 正敏, 澤西 真由美, 土取 知美, 則武 友香, 増田 千穂, 鶴田 悦子 (たんぽぽ薬局(株))

【背景】日本国内の慢性腎臓病(以下CKD)患者数は、約1330万人と推測されており(日本腎臓学会CKD診療ガイド2012)、CKD重症化予防と共に、患者のQOLの維持向上が重要とされている。今回、CKD患者に対しテレフォンフォローアップ(以下TF)を実施したことで、副作用と状態悪化への早期対応に繋がった事例について報告する。
【症例】60代女性。2型糖尿病、高度腎機能低下(eGFR 19.4 mL/min/1.73m2)の患者。
X日、ポリスチレンスルホン酸カルシウム液(以下CPS)服用による便秘(ブリストルスケール(以下BSスコア)1)の副作用のため、ラクツロースゼリー48g/日が追加となる。また、下肢浮腫のためトルバプタン錠7.5mg→15mgに増量、フロセミド錠40mgは中止となる。
X+7日、TFを実施。便秘症状は改善しておらず(BSスコア 1)、腹部の張りも強くなっていると聴取した。血中カリウム濃度は基準値内(4.4mEq/L)で維持できていることから、CPSの減量を処方医に電話で提案し、75g/日→25g/日へ減量となった。
X+14日、再度TFを実施。便秘症状の改善(BSスコア 2-3)を聴取した。一方、下肢浮腫により、歩行が困難になっていると聞き取り。受診勧奨を行ったが、受診困難のため、前回中止となったフロセミドの再開を希望していることを処方医に電話で報告。結果、起床時に下肢浮腫がある場合、フロセミドを服用するよう指示が出た。フロセミドを服用しても下肢浮腫が改善しない場合には早めに受診するよう再度、受診勧奨を行った。
X+20日、下肢浮腫が悪化したため受診、そのまま入院となる。
【考察】本症例では、TFを継続的に行ったことで、患者の便秘や下肢浮腫を確認し、早期に対応することができた。薬剤交付後も服薬フォローアップを通して患者と継続的に関わり、医師への情報提供や受診勧奨を行うことで、状態改善やQOL向上に繋げることが重要であると考える。