第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

2024年11月3日(日) 13:00 〜 13:40 ポスター会場 (5階 501+502)

[P-061-A] 経口糖尿病薬のシックデイルールに関する理解度調査と今後の課題

渥美 育則, 加藤 侑世, 古川 知里, 天野 美歩, 則武 友香, 増田 千穂, 鶴田 悦子 (たんぽぽ薬局(株))

【目的】糖尿病患者のシックデイ時においては、薬の減量や中止が必要になることもあり、個々の患者の理解度に応じた指導を行うことが重要である。今回、経口糖尿病薬のシックデイルールに対する患者の理解度を調査することで、糖尿病薬物治療の安全性向上に繋げることを目的とした。
【方法】2023年10月~2024年2月の期間、経口糖尿病薬が処方された患者を対象にシックデイに関する理解度について投薬時に聴取した。その際、シックデイの説明や対処法等を記載した自作の指導箋を用いて説明を行い、次回来局時に再度シックデイの理解度について聴取し、指導前後で比較した。
【結果】対象患者139名のうち、シックデイを知っていると回答した患者は、指導前15名(10.8%)、指導後57名(41.0%)と改善がみられた。一方、シックデイ時における服用薬の休薬、減薬の必要性を理解している患者は、指導前11名(7.9%)、指導後14名(10.1%)と大きな改善はみられなかった。シックデイの認知度を年代別に集計したところ、50歳代の患者26名では指導前4名(15.4%)、指導後14名(53.8%)であったのに対し、70歳代の患者50名では指導前2名(4.0%)、指導後15名(30.0%)、80歳代以上の患者22名では指導前0名(0.0%)、指導後4名(18.2%)と、年齢が上がるにつれて認知度が低下する傾向がみられた。
【考察】シックデイに関する理解は未だ浸透しておらず、患者層の過半数を占める高齢者において特に理解度が低いことが分かった。また、薬局薬剤師の指導がシックデイの認知度改善に繋がることが示唆されたが、休薬、減薬の必要性に関する理解度は、十分な改善には至らなかった。医療機関と連携した指導や地域における糖尿病教室の実施など多方面からのアプローチを行うことで理解度向上に繋げていくことが今後の課題であると考える。