第18回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

Sun. Nov 3, 2024 1:50 PM - 2:30 PM ポスター会場 (5階 501+502)

[P-074-B] 医薬品副作用データベースを用いたラムシルマブによる有害事象発現リスクの網羅的分析

小林 洋平1, 林 圭子1, 前田 守2, 伊藤 将2, 長谷川 佳孝2, 月岡 良太2, 大石 美也2 (1.アイングループ (株)アインファーマシーズ アイン薬局 千葉西店, 2.(株)アインホールディングス)

【目的】外来がん化学療法が普及する現在、その安全担保への薬局薬剤師の貢献が期待される。外来がん化学療法でも使用されるラムシルマブ(RAM)は、結腸・直腸がんや胃がん等に適応を持つ抗がん剤の一つであるが、その有害事象の好発時期に関する報告は少ない。そこで、医薬品副作用データベース(JADER)を用いてRAMの有害事象発現リスクを分析し、薬局薬剤師が果たすべき役割を考察した。
【方法】2004年4月~2024年3月のJADERデータベースを用い、RAMが被疑薬の有害事象報告から報告オッズ比(ROR)とFisher正確確率検定のp値を算出した。ROR>1かつp<0.05未満の場合、RAMと有害事象の関連性ありとした。また、初回投与から有害事象発現までの日数を算出し、その分布からワイブル形状パラメータ(β)及び95%信頼区間(CI)を求めて発現パターンを推定した(アイングループ医療研究倫理審査委員会承認番号:AHD-0250)。
【結果】3,796件の報告事象のうち、休薬、減量、中断の検討因子となるネフローゼ症候群(161件、ROR: 22.0、p<0.001)、高血圧(140件、8.6、p<0.001)、蛋白尿(132件、21.8、p<0.001)の報告件数は上位10位以内であり、有意な関連性があった。発現パターンは、ネフローゼ症候群(中央値: 25日、β: 1.00 [95%CI: 0.83-1.16])が発現傾向に経時的な影響が見られない偶発故障型、高血圧(21.5日、0.74 [0.57-0.90])が投与初期に好発する初期故障型、蛋白尿(29.5日、1.29 [1.04-1.54])が経時的に発現リスクが増大する摩耗故障型であった。
【考察】本研究では、RAMと有意な関連性があり投与方針に影響する3つの有害事象は、その発現パターンは異なるが発現までの日数が中央値で30日以内であることが示唆された。薬局薬剤師は、特にRAM投与1ヶ月以内はそれぞれの有害事象の発現パターンを加味した積極的なフォローアップを実施し、その早期発見に貢献することも重要と考える。