[P-096-C] 2型糖尿病患者に対するGLP-1受容体作動薬の治療効果と患者評価
【目的】食生活の変化や運動不足等により2型糖尿病患者は増加傾向にあり、薬剤師による適正使用の推進と合併症のリスク軽減が求められている。本研究の目的は、GLP-1受容体作動薬の治療効果と患者による評価に関する調査を行い、それらを適正使用推進に役立てることにある。【方法】GLP-1受容体作動薬で治療を行っている2型糖尿病患者に対し、現在のHbA1cをアンケートで聞き取りGLP-1受容体作動薬開始直前の薬歴記載の数値と比較した。その他、治療評価項目として体重変化量、服薬状況、食事量・間食の変化、食欲減退効果の有無、有害事象の有無、運動習慣の変化と患者評価項目として治療のメリット・デメリット、治療満足度(5段階評価)、薬局に求めるサービスを聞き取った。【結果】アンケート回答は、トルリシティ®(皮下注)、オゼンピック®(皮下注)、リベルサス®(経口薬)で治療中の患者計23名より入手し、該当薬による治療継続期間の平均は606日であった。投与開始前の数値の記録を確認できた17名のうち13名で1kg以上の体重減少を認め、さらにそのうち7名でHbA1cの1%以上の減少を認め、全員が服薬状況良好と回答し治療満足度は5段階評価で平均4.6と全体平均3.8を上回った。一方、全体平均以下の治療満足度と回答した患者は6名で全員がHbA1c1%以上の減少を認めず、間食習慣ありと回答し、うち4名は運動習慣もなかった。【考察】GLP-1受容体作動薬継続患者全体の治療満足度は5段階評価で3.8であったが、定量的なHbA1cの数値や体重の結果記録のフィードバックを通して治療意欲向上をさらに図ることが肝要である。治療効果として体重減少による身体負担の軽減や健康意識の向上による運動の習慣化が挙げられた。治療満足度が低い患者には食事献立・運動の提案も治療効果の改善に寄与できる。またニーズに合わせて経口薬を注射薬へ切り替える情報提供も適正使用推進の一環である。