第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

2024年11月3日(日) 14:50 〜 15:20 ポスター会場 (5階 501+502)

[P-126-C] 薬剤師が介入し、多職種と連携したことにより改善に繋がった遅発性パラフレニーの症例

茂木 瞳1, 多田 芽以2, 小川 めぐみ1, 池野谷 依子1 (1.アイセイ薬局 五日市店, 2.はなまる薬局 武蔵境店)

【目的】高齢化社会の日本において、未治療の認知症や精神疾患を抱える高齢者は少なくないと推測される。高齢者に見られる幻覚、妄想を伴う遅発性パラフレニーは薬物治療で改善が見られる疾患である。今回、薬剤師が多職種に情報提供した結果、当該疾患の薬物治療に寄与した事例を報告する。
【症例】患者K 80代女性独居。高血圧にて通院中。処方変更により帰宅後パニックを起こし、当薬局で服薬管理を行う事になった。妄想、幻覚が酷く、地域包括支援センターの介入も拒否、見守り状態だった。長男によると50代より妄想、幻覚があり、家族、近隣住民等とトラブルになった。精神科受診も拒否。会う度に言い争いになり、距離を取る様になった。状況から、遅発性パラフレニーの可能性を考え、リスペリドンの処方1)提案を主治医へ行った。同時に要介護申請を行い要介護1となった。リスペリドンは1mg/日で服用開始。ヘルパー、訪問看護師、ケアマネ、家族に服薬の声掛けを依頼した事で毎日の服薬をほぼ確実に実行出来た。28日後に2mg/日に増量。4か月後に症状消失となった。その後パーキンソニズムが見られ、1.5mg/日へ減量。症状再燃はなく家族との関係も改善した。
1)高橋恵ら リスペリドンが奏効した遅発性パラフレニーの3例 精神医学2000年1月
【考察】今回は薬局の取り組みとして、服薬管理だけではなく、患者家族や地域包括支援センターとも連携する事により、症状の原因疾患を特定する事が出来、治療に繋がった事例を紹介した。その経過では多職種連携により確実な服薬や家族間の関係回復を実現出来た。よって、地域密着型薬局として主治医、多職種、患者およびその家族との連携を図り、薬剤師としての知識を生かした支援を継続して行く事が重要であると考える。