第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

2024年11月3日(日) 13:50 〜 14:30 ポスター会場 (5階 501+502)

[P-134-B] 医薬品副作用データベース(JADER)を用いた乳酸アシドーシスの発現リスクに関する網羅的解析

田中 裕己1, 前田 守2, 伊藤 将2, 市ノ渡 真史2, 長谷川 佳孝2, 月岡 良太2, 大石 美也2 (1.アイングループ (株)アインファーマシーズ アイン薬局 天久店, 2.(株)アインホールディングス)

【目的】乳酸アシドーシス(LA)は、重篤化すると致死率が高くなるため、薬局薬剤師が注意すべき有害事象の一つである。本研究では、PMDA公開の医薬品副作用データベース(JADER)を用い、LAの発現リスク及び発現時期に関する網羅的な解析を行い、薬局薬剤師が果たすべき役割について考察した。
【方法】 JADERに登録された 2004年4月~2023年9月のデータを用いて、LAの有害事象と医薬品の関連性を解析した。対象薬剤の有無と対象有害事象の有無に基づく2×2分割表を作成して報告オッズ比(ROR)とFisher正確確率検定のp値を算出し、p値が0.05未満かつRORが1を上回る場合に対象薬剤と有害事象の関連性があるとした。また、有害事象の発現までの日数の分布に基づきワイブル形状パラメータ(β)を求め、有害事象の発現パターンを推定した。(アイングループ医療研究倫理審査委員会承認番号:AHD-0238)。
【結果】報告件数はメトホルミン(1,144件、ROR:1279.9)、ビルダグリプチン・メトホルミン配合剤(85件、91.5)、リネゾリド(50件、13.7)の順に多く、全てLAとの有意な関連性があった。また、アムロジピン(17件、2.4)にも有意な関連性が見られた。発現パターンは、メトホルミン(中央値:246日、β:0.61[95%信頼区間:0.53-0.68])、ビルダグリプチン・メトホルミン配合剤(301日、0.56[0.33-0.80])、アムロジピン(21日、0.45[0.06-0.84])では服用開始初期に発現する初期故障型、リネゾリド(11日、0.98[0.70-1.27])では発現に時間依存性が見られない偶発故障型であった。
【考察】本研究より、添付文書上に記載のあるビグアナイド系やリネゾリド等の他、記載のないアムロジピン等でもLAと有意な関連性が示唆された。薬局薬剤師は本研究で得られた知見を活かし、初期故障型の医薬品は来局タイミングを待たずに積極的な来局間の服薬フォローアップを実施する等、LAの早期発見に努めることが重要と考える。