第18回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

Sun. Nov 3, 2024 2:50 PM - 3:20 PM ポスター会場 (5階 501+502)

[P-138-C] 薬局管理栄養士が来局患者の健康被害回避及び健康増進に寄与できた事例

花原 凜1, 出田 淳也1, 木村 美早紀1, 庄司 雅紀2 (1.(有)イトーヤク(e薬局グループ) ふくだ薬局, 2.大阪医科薬科大学薬学部 社会薬学・薬局管理学研究室)

【目的】
薬局管理栄養士による栄養相談は患者の生活習慣のみならず、併用薬を含む様々な情報を得る機会となり得る。
今回薬局管理栄養士が実施した栄養相談により、併用禁忌薬の発見及び臨床数値の改善が見られた事例の報告を行う。

【症例】
30代女性独居[現病歴] 糖尿病、高脂血症、肥満症、腹膜炎、子宮筋腫 [経緯]患者のインスリン注射への忌避より当薬局での栄養相談を希望。20XX年9月管理栄養士による栄養状況の聞き取り、個別面談を開始。HbA1c8.1%、空腹時血糖121mg/dl、LDL-C146mg/dl、HDL-C38mg/dl、TG211mg/dl、体重100kg。エネルギー・脂質などの適正量摂取に関する指導を実施。また、管理栄養士による聞き取りの中で、それまでは把握していなかった患者の精神科への定期受診および向精神薬の服用が発覚。しかし、患者の意向により服用薬名は明かされなかった。本件について薬剤師に情報共有。20XX+1年2月管理栄養士から情報提供を受けていた薬剤師による聞き取りで、患者が併用禁忌薬を服用していたことが発覚。患者の意思により患者自身で処方元に確認を行った結果、セロクエル錠がレボトミン錠に変更となった。患者の管理栄養士の指導に対するコンプライアンスは良好であり、野菜の摂取量増加、揚げ物の摂取量減少などが見られHbA1c1c7.3%、空腹時血糖111mg/dl、LDL-C122mg/dl、HDL-C41mg/dl、TG163mg/dl、体重94kgに改善。期間中、管理栄養士による指導は全6回となった。

【考察】
本事例は、薬局管理栄養士による継続的な栄養相談が、患者の食生活の改善やそれに伴う血液検査結果の改善に寄与し得ることを示すのみならず、薬剤師と管理栄養士の協働が処方適正化やそれに伴う健康被害防止に貢献し得ることを示すものであったと言える。
特に本件では、管理栄養士の聞き取りが併用禁忌薬の発見の契機になっており、薬局管理栄養士が患者の健康増進に関し重要な役割を果たしうることを示すものであると考える。