[P-155-B] 医薬品情報の活用に向けた社内勉強会による、薬剤師の情報提供能力への影響及び意識変容に関するアンケート調査
【目的】近年、薬局の機能がモノからヒトへ変化している。これまでもEBMの実践や研究能力に関する取組は報告されているが、研修を行ったことによる処方提案数の変化や、薬剤評価に関するプロセスの変化等、実臨床への影響までは検証されたものは少ない。本研究は薬剤師に対する講習がどれほど実臨床に影響を与えたかを調査したものである。【方法】実務での医薬品情報の活用を目的とした社内勉強会(2024.4.18-19)を開催し受講前後で参加者に対しアンケートを実施した。(受講前:2024.4.4,受講後:2024.5.20)職能歴が3年以上で継続勤務している薬剤師を対象に医療機関への情報提供数、医薬品情報を検索する際に使用するツールの数、文献検索回数の変化について回答を得た。匿名化処理を行った後統計的手法で解析し、有意水準5%を下回る場合に統計的有意とした。本研究は倫理審査の承認を得たのち実施した。【結果】アンケート回収率は28%で調査対象者は11名である。勉強会後、医薬品の情報を検索する際に使用するツールの種類は一人当たり平均3.27から3.18に、処方/治療提案に関する情報提供数/月は一人当たり2.36件から2.18件に減少したが、有意差は見られなかった(それぞれp = 0.42,0.77, Wilcoxon符号付順位和検定)。服薬情報提供書を記載したことがないと回答した3名のうち、2名は受講後報告件数が2件および1件/月に増加した。【考察】受講前後で服薬情報提供書や、情報検索する際のツールの数/種類に有意な増減は見られなかった。この事は、調査検証までの期間が短いため、また十分なサンプル数が集まっていないために増加に繋がらなかったと検討される。服薬情報提供数0件と答えた3名のうち2名は受講後に情報提供に繋がったことから経験のない薬剤師にとって今回の講習が有用であった可能性が示唆され