第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム14
「薬局薬剤師による在宅緩和医療への参画 ~とりあえず始めてみよう~」

2024年11月3日(日) 09:00 〜 10:30 第5会場 (3階 313+314)

座長:柳樂 晃洋(日本保険薬局協会 専務理事)

[SY14-1] 最近の医薬行政の動向と薬局・薬剤師への期待

大原 拓 (厚生労働省 医薬局総務課 薬事企画官)

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 近年、高齢化の進展とともに、新薬等の開発が進んでいく中、多剤投与による副作用の懸念の高まりや薬物療法において特に副作用に注意を要する疾病(がん、糖尿病等)を有する患者の外来治療へのシフトなども見られる。加えて、医療機関の機能分化、在宅医療や施設・居住系介護サービスの需要増等が進展していく中で、患者が地域で様々な療養環境を移行するケースが増加している。
 また、第二次医療法改正で薬剤師が医療の担い手として明記されて以降、薬学6年制過程の導入や薬局の医療提供施設への位置づけ等が図られてきたが、地域包括ケアシステムを担う一員として、医療機関等の関係機関と連携しつつ、その専門性を発揮し、患者に安全かつ有効な薬物療法を切れ目なく提供する役割を果たすことが求められており、近年では、薬剤師・薬局のあり方等についても更なる議論が進み、対人業務の充実化や薬局の機能強化等に向けた様々な対応も行われているところである。

 一方で、医療需要が増大し、医療の担い手確保が困難になる中、在宅患者への夜間・休日等の緊急時や離島・へき地等での薬剤提供が課題として指摘されているほか、薬局・薬剤師は、高度化、普及してきたICT等を活用しつつ、関係職種と連携しながら、専門性を発揮することも求められている。加えて、令和元年改正薬機法により導入された地域連携薬局及び専門医療機関連携薬局等についても、上記の課題を踏まえつつ、その機能や果たすべき役割などを整理することが必要であり、厚生労働省においては、「薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」を開催し、こうした課題への検討を行っているところである。

 本演題においては、薬剤師・薬局の機能強化、薬剤師の養成に関する現状と課題、医療DXなど、地域医療を担う薬局・薬剤師を取り巻く最近の制度や関連の議論等について概説する。