第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム2
「住み慣れた地域での生活を最後のその時まで支えるために ~在宅緩和ケアにおける多職種連携で薬剤師が果たすべき役割~」

2024年11月2日(土) 15:30 〜 17:00 第2会場 (5階 503)

座長兼オーガナイザー:塩川 満(東京女子医科大学病院 薬剤部 薬剤部長)

[SY2-3] 地域在宅医療の現状と緩和ケアでの薬剤師の役割

近井 優斗 (クオール株式会社 薬局事業第一本部 第一事業部 教育担当者/ サンビレッジ調剤薬局(在宅緩和ケア対応薬局) 薬局長兼管理薬剤師)

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 サンビレッジ調剤薬局が位置する北海道旭川市は、2024年総人口31万人、高齢化率は35.0%、要介護等認定者数は介護保険制度開始時と比べ約2.9倍に増加してきている。医療は旭川医科大学病院を中心に、高度な専門医療から地域医療、救急医療まで、多岐にわたる医療サービスを提供しており、道北地域全体の医療の中心地として機能している。自然環境は豊かだが、冬季は年間降雪量が500cmを超え、気温は-30℃を下回る厳しさもある。当薬局は、外来調剤に併せて約80名の在宅対応をしており、そのうち50名は個人宅に訪問している。1日の業務内容は、朝8時に処方元医院でカンファレンスに参加、午前中は主に内科の外来調剤を行い、午後に在宅訪問を行っている。演者は4年前から当薬局に勤務し、緩和ケアに未経験から携わるようになった。医師、看護師、地域の訪問看護師等に指導を受け、実践の中で経験値を積んでいた。現在、医療チームや地域への恩返しをするため、(一社)日本緩和医療薬学会緩和薬物療法認定薬剤師の認定取得にチャレンジしている。また、本年4月に在宅緩和ケア対応薬局の認定も取得した。認定の過程で行った地域緩和ケアネットワーク研修は北海道大学病院で研修を行い、緩和ケアチーム一員である薬剤師の積極的な処方介入を学ぶ貴重な機会を得た。演者は、旭川薬剤師会地域医療保健部部長を務めることもあり、地域の若手薬剤師も巻き込んでいきながら地域全体の在宅医療のレベルアップに取組んでいる。今回は、上記の内容と担当したがん終末期患者症例を紹介し、地方で在宅緩和ケアに参画ことの意義や課題などを提案する。